米男子ツアーでは500ヤードを超えるパー4、650ヤードを超えるパー5が珍しくなくなった。先のNECインビテーショナルが開催されたファイアーストーンCCでは、16番にモンスター級の667ヤード・パー5があったかと思えば、その前週の全米プロが開催されたバルタスロールGCには、500ヤードを超えるパー4が2ホール、そして17番には打ち上げの650ヤード・パー5があった。
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世界最難のパー4は セントアンドリュースの17番
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5年ほど前には、ゴルフのルールブックに「パーの算出に際しての参考距離表」が付属規則として掲載されていた。例えばパー4というのは、251ヤードから470ヤードとされていた。
ところがプロたちの飛距離が年々伸びていくのと同時に、そうした基準が有名無実となり、いつの間にかルールブックから姿を消してしまった。
事実、バルタスロールGCでは、J・デーリーが650ヤードのパー5で2オンに成功している。
また、ファイアーストーンCCでは、S・ガルシアが667ヤードのパー5で、アゲンストの風でにもかかわらず2オンを狙い、グリーン奥のラフまで飛ばしているのだから、パーの算定基準がなくなるのも無理はない。
実際、今年は米男子ツアープロたちの平均飛距離が、290ヤード(昨年の平均は287.3ヤード)を超える可能性もあるというのだから、トーナメントの開催コースで改造を行い、ヤーデージを伸ばすしかないようだ。
そうしたなかで、すでに来年に向けて、オーガスタナショナルGCの改造工事がほぼ終了したが、来年のマスターズは、なんと約7445ヤード(今年は7290ヤード)でプレーされることになりそうだ。
「オーガスタナショナルは常に進化し続けており、今回の改造もB・ジョーンズとA・マッケンジーの設計理念を守るために行ったもの」(H・ジョンソン会長)という理由で、プロのスコアを止めるために行ったものではない、としている。
しかし、オーガスタは、特にグリーンが固く速いことから、ロフトのあるクラブでセカンドショットを打たないことには、ボールがグリーン上で止まらない。
それだけに通常のコースのヤーデージよりも1割は長く感じるようで、実質で7400ヤードを超えるということは、プレーヤーにとって8000ヤード前後のコースでプレーしているのと同じ感覚だろう。
先のNECでは、C・ディマルコとタイガー・ウッズのプレーオフになる可能性があったが、結局、タイガーが問題の距離の長い16番でバーディを決めて、ディマルコを突き放している。
タイガーは、こうした大きな大会でコースヤーデージが長くなっていることに対して、「非力なプレーヤーには、不利になっていることは間違いがない。というより、飛距離があり、しかも高い弾道の球を打つプレーヤーが、ますます有利になっている。ディマルコは確かにそれほど飛ぶプレーヤーではないけど、少なくとも彼は、高い弾道のボールを打つのが得意だ」と話している。
だだし、別表を見れば分かるように、パー5のロングホールは、飛ばし屋にとってこれまで2オン狙いの「バーディホール」だったが、650ヤードを超えるとなると、大半のプレーヤーが2打目を刻むことになるので、非力なプレーヤーとロングヒッターとの差が少なくなる、という見方もある。
そのためか、今年の全米プロではS・エルキントン、NECではディマルコといったプレーヤーが上位に来た、という見方もできるだろうが、結局は両試合ともミケルソンとタイガーという飛ばし家が優勝をさらった。
パー5はともかく、距離の長いパー4では非力なプレーヤーには、どうにもならない。
昨年の全米プロのように、風向きによっては「2打で届かないパー4がある」(丸山茂樹)ところも出てきているのだから、飛距離の出ない日本人プレーヤーたちにとっては、厄介な時代になってきたようだ。
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