会社更生手続き中の株式会社東京国際カントリー倶楽部のスポンサーに、おなじみの2大外資、参加率100パーセントの会員組織、それに複数の国内勢がずらりと顔を揃えていることがわかった。
傘下に東京国際CC(東京都、18H)と、桜GC(茨城県、27H)の2つのコースを持つ株式会社東京国際カントリー倶楽部が、債権者であるローンスター系サービサー・虎ノ門債権回収から、会社更生手続きの開始申立を受けたのは今年1月。債権者申立だったので、裁判所による審尋を経て手続きの開始決定が下りたのは今年3月31日。
約180億円ある負債の内訳は、預託金が東京国際CCで21億円、桜GCで45~46億円の合計70億円弱。金融債務が50~60億円、保証債務が約50億円。
東京国際が昭和36年、桜GCが昭和44年と、2コースとも開場が古いため、預託金総額は少ない。その後に旧経営陣が積み上げた金融債務を含めても2コース、45Hの経営会社としては、負債は少ない方だろう。
来年1月の更生計画案の提出期限に向け、現在スポンサー選定の入札作業が進められているが、東京国際CCは言わずと知れた『都内』立地。
あるゴルフ業界関係者は「売りものが残り少ない中、誰でも欲しい組み合わせ。かつて東京国際が内々に売りに出た際の価格は50億円だったから、最低でも40億円とすると、桜GCは20億円として2コース合わせて最低ラインはざっと60億円」と見積もる。誰でも欲しいとなると、最終的にかなりの高値になる可能性が高い。
詳細は不明だが、ローンスター、ゴールドマンサックスの2大外資、複数の国内勢が名乗りを上げているほか、会員組織である中間法人東京国際クラブも、三洋電機系列の東証一部上場のノンバンク・三洋電機クレジットとタッグを組んで入札に参加している。
金融債務の負債が相対的に少なめとはいえ、預託金以外の債務が100億円以上となると、会員単独では難しいのだろう。
創業オーナーとの間でトラブルが続いていたこともあり、東京国際CCに「守る会」が発足したのはかれこれ5年前。
その後オーナーが代わり、三井住友銀行の債権がローンスターグループのハドソン・ジャパンに譲渡されたことをきっかけに、2年前に「守る会」から中間法人に衣替えしたわけだが、会員の参加率は100パーセントを誇る。
さらに、桜GCの会員もこの中間法人に参加する意志を表明したため、東京国際CCの会員約2700名に、桜GCの会員4000名が首尾良く上乗せされると、債権者数で7000名弱、金額でも保証債務抜きなら5割超、保証債務込みでも37パーセントとなり、更生計画案立案の上で、会員組織の存在はかなりのウェイトを占める可能性が高い。
そもそも、会社側の代理人弁護士が主導でコトを進める民事再生手続きと異なり、会社更生手続きの場合、管財人は完全に独立した存在となる。突出して額が大きい債権者がいればその意向は無視できないものになるが、そうでなければ債権者だから絶対有利とは限らない。
そうなると「勝負はもっぱら金額かというと、必ずしもそうではなく、会員の扱いについても重要視されるのが最近の傾向」(ゴルフ場経営に詳しい株式会社グッド・ゴルフの栗原聡代表)だ。
ゴルフ場の法的手続きの事例が積み上がった結果、『プレー権の保護』の概念に対する会員側の意識、知識は向上、関心は保護の中身に移っている。
結果的に、ビジター優先で会員は一向にスタートがとれなかったり、年会費がいきなり値上げされたり、会員権の新規募集が始まったりといったことで、セミパブリック化する例をいくつも目の当たりしてきたためだ。
セミパブリック化が進むと会員権の価格も下落を始める。そこに外資や、外資と同様の行動様式を持つ国内勢に対する会員の不信感が生まれる。
再建課程では収益源確保の上で、会員との関係は経済合理性の上でも重要なポイントになる。
単に「プレー権を保護します」だけでは会員に対する説得力は乏しい。今回のスポンサー争奪戦、どこまで金額が積み上がるのかについてはもちろん、どこまで会員の扱いについて具体的に踏み込んだ案が出てくるのか、注目される。
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