毎年11月になると、地域のゴルフ関係者がにわかに活気付くところがある。男子ツアーのダンロップフェニックスと女子ツアー最終戦のリコーカップが2週続けて開催される宮崎だ。両大会が行われる宮崎市では、昨年から官民が一体となって「みやざきゴルフマンス」と名づけたキャンペーンを実施。地域とトーナメントのいい関係ができつつあるようだ。
|
今年もフェニックスCCにタイガーがやって来る
|
今年、宮崎では11月17日からフェニックスCCでダンロップフェニックスが、翌週24日からは宮崎CCでリコーカップがそれぞれ開催される。
同じ市内の、直線距離にして約30キロの両ゴルフ場で、前週は世界王者のタイガー・ウッズが2年連続(3回目)でプレーし、翌週には国内のトッププレーヤーが勢ぞろいし、賞金女王争いに最後のしのぎを削る。当然、この間は全国のゴルフファンの目が宮崎に集中することになる。
この盛り上がりに一層の拍車をかけようと、昨年、宮崎市では市が中心となり、関係業界・団体と協力して「みやざきゴルフマンス」キャンペーンを実施した。
県内ゴルフ場の優待券にもなるガイドブックを、県内を中心に1万5000部配付したのを始め、大会期間中に市内や大会コースで各種イベントやアトラクションを実施した。
すると、男子は「タイガーの復活劇」、女子は「不動裕理と宮里藍の白熱したマネークイーン争い」といった、まさに台風並みの追い風が吹き、前者は合計ギャラリー数が前年比1万人増、後者も同じく5000人増と、集客が飛躍的に伸びた。
もちろん、キャンペーン効果の程は定かではないが、大会関係者は一様に「地域を挙げての歓迎ムードはありがたい」と語る。
そこで同市は、今年さらにパワーアップさせることにした。「今年はガイドブックを10万部刷り、9月末から県内のゴルフ場や駅・空港、ホテル等のほか、九州はもちろん、全国にある県の出張機関などで配付する予定です」(宮崎市観光協会)
『宮崎たべてん!』という誌名のこのガイドブックには、観光案内だけでなく、各種割引クーポンやスタンプラリー(ゴルフ場やホテル、空港・宮崎駅で実施)といった特典を付記。
その中には県内12~13コースのサービス券も含まれる(グリーンフィの1割前後の割引、ドリンクサービスなど)。現地観戦の際には是非手にいれたい1冊だ。
また、10月末からは市内各所に両大会の告知看板などが掲示され、大会ムードを一気に盛り上げる。
こうした地元のバックアップに、宮崎CCの坂上昌弘支配人は「ギャラリーの集客については、昨年は古閑美保さんの応援団が熊本から何台ものバスで来場されましたし、同じ熊本から不動さんのファンもたくさん見えられました。今年は恐らく、鹿児島から横峯さくらさんの応援団が大勢加わるでしょうから……」と不安はない様子。
しかし、このキャンペーンにはそうした直接的な営業効果よりも、「うちだけじゃなく、県内のゴルフ場を全国にPRする効果はとても大きいと思います」と語る。
もともと同県のゴルフ場は冬季の人気コースで、両大会が終わると、さっそく全国から一般客が押し寄せる。それを、できれば通年での賑わいにしたいというのだ。
さらに、同支配人はキャンペーンのもうひとつの大きな意味合いを明かしてくれた。
実は、リコーカップの同コース開催は単年度契約。それだけに盛り上がりが欠けるなど、主催者の狙いと大会内容が合致しなければ、いつ会場の変更がないとも限らない。実際、これまでに四国への変更が検討されたことがあった。
「男子のカシオワールドが今年から四国に移りましたが、他人事とは思えません。せっかくいただいた宮崎の財産ですから、今後もずっと守っていきたいですね」(坂上支配人)
大会運営の関係者によれば、トータルに判断して、同コース以上の候補地は今のところないという。それでも地域を挙げての応援はありがたいというのが、開催コース側の偽らざる心境のようだ。地域とトーナメントのいい関係を期待したい。
|