日本で台風14号が各地に被害を及ぼす中、アメリカではハリケーン・カトリーナの救援活動が、ようやく本格化し始めている。しかしライフラインの確保が最優先される最悪の状況が続き、ゴルフ場の被害についての情報は、いまだ乏しい。
ハリケーン通過から約2週間経過しているが、いまだにニューオリンズを中心とした広いエリアで電気、ガス、水道はもちろん電話も通じない状況が続く。つまり、被害状況が正確につかめない中で、救援活動も手探りで行っているようだ。
「ゴルフ場の被害に関しても、まだ初期の被害確認が取れていない状況。ゴルフ関係でどれくらいの被害がでているのかまったく掴めていない」とB・ゲーリング氏(グリーンキーパーズ協会広報部長)は語る。
またナショナルゴルフファンデーションのJ・トンプソン女史も、
「とにかく電話が通じないために、状況が分からない。カトリーナが最初に通過したフロリダに関しては、ドラールをはじめ、大量の雨が降っただけで、大きな被害はなかった様子。ルイジアナとミシシッピーにある約280コースにどのような被害が出ているのか、またどれくらいの被害総額になるのか分かっていない。 アラバマ州にも253コースあるが、こちらでも被害が出ているとは聞いているが、その規模も分からない。情報が入っているのは、ニューオリンズのパインウッドCCが水没し、来年開場予定のファレンオークGCが大きな被害を受けたといったわずかなケースが報告されているだけで、全体の被害は未知数」といった具合だ。
数千人から1万人に及ぶ犠牲者が出ていることから、水没したり、大規模な被害を受けた地域では、人命救助が最優先に行われている上、まだ避難した人間も戻れないでいるので、自分のコースが大被害にあったとしても、メンバーやオーナーでさえその状況がわからないでいるようだ。
被害地区にあるTPCオブ・ニューオリンズは、海抜0メートル以下ではないが、PGAツアーでは、「来年のツーリック・クラシックの開催は難しいだろう」といったコメントを出している。
そうした中で、ゴルフ界での支援・救援活動も始まっている。先のインドネシア沖地震・津波被害の時と同様に、アメリカのゴルフ団体が協力して募金活動を始めた。
「多くの人々の苦しみを和らげるために、ゴルフ団体やトーナメントスポンサー、プレーヤー、そしてゴルフファンなどが効果的に寄付を行えるように『USゴルフ・ハリケーン・カトリーナ救済基金』が作られた」(T・フィンチェムPGAツアーコミッショナー)。
とりあえず500万ドルを目標に、資金集めが行われている。
政府の対応の遅れをよそに、プロゴルファーたちも個人的に動き出している。例えば、グレッグ・ノーマンは、自家用ヘリコプターをパイロットごと1カ月間、救済活動に貸し出した、という話も伝わってきている。
また、ニューオリンズで生まれ育ち、今も水没した場所に住所を持つツアープロのゲリー・ギプソンに対して、トム・レーマンをはじめ、ジョン・クック、ウィリー・ウッズなどから200通を超えるEメールが届き、自宅を開放するから、避難場所として移り住むように声をかけたという。
被災者であるギプソン自身も、食料や水を持ってニューオリンズの救済活動を助けようと運動を組織し始めた。
米政府の対応の遅れが批判される中、ことゴルフ界に関しては、個人も団体も政府以上に迅速に行動しているようだ。
救済基金の送り先は下記。
TheU.S. Golf Hurricane Katrina Relief FundC/o PGATour Charities,Inc Attention:Ron Price, Chief Financial Officer, PGATour P.O.Box 2904 Ponte Vedra Beach, FL32004 USA
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