最近の会員権市場は、高額コースは堅調で上昇傾向が見られるものの、低額コースは依然下落、中間の価格帯も足踏みの状態となっている。そうした全般に冴えない中、女性会員権に好調な物件が目立ち始めた。関係者の声を聞くと、この傾向は今後も強まりそうな雲行きだ。
女性(婦人)会員権は、主にロッカールームや浴室などクラブハウスの専用施設の制限から、女性の会員数を限定する目的で発行される会員権。当然、もともと発行枚数は少なく、市場では一般の会員権より高額の値がついている。
「昔は5~10パーセント増し程度でしたが、女性ゴルファーの増加によりプレミアで価格が上昇、最近は5割増しが普通になっています」と桜ゴルフの代表取締役・佐川八重子氏は概況を語る。
そうした、もともと割高の女性会員権にこのところ値上がり傾向が見られる。
業界大手の住地ゴルフのデータによれば、現在、売買の申込みがある女性会員権のうち、今年の年初よりも値段が下がっているのが10コースなのに対し、上がっているのは23コースもある。
しかも、100万円以下の低額~高額コースまで、各価格帯で上昇している。
なかには、年初の買い希望値が570万円だったのが、現在1150万円と倍以上に高騰した横浜CCのような例もある。ちなみに、同CCの一般正会員の相場は現在510万円。女性会員権の半値以下である。
また、うち13コースは、一般の正会員権相場は下げているにもかかわらず、女性会員権だけは上昇している(ただし、取引数が少ないため、売りか買い、片方の希望価格からの気配値で比較したコースもある)
その一つ、茨城GCは一般の正会員は現在820万円(売りと買いの希望価格の中間値)。年初との比較では2.4パーセントの下落だが、女性会員は1450万円の高値で、しかも年初の1134万円からは27.9パーセントも値上がりしている。
上昇の原因は、もちろん女性ゴルファーの増加であり、その中から会員権購入を希望する女性が増えたからだ。
「会員権の値上がりですか? 現場ではそうした気配は特に感じません。うちが他所より上がっているとすれば、理由のひとつは、先月開業したつくばエクスプレスかもしれませんね」と同GCの営業担当。
同路線開業により、最寄駅からはクラブバスでわずか5分、都心の秋葉原から電車で40分余で到着する交通至便さは、車の運転に慎重な女性には大きな魅力だ。
また、「女性のお客様には、平日プレーで、夕方には帰宅したいとおっしゃる方が多いですね。そうした方には電車のほうがありがたいようですから……」と上昇要因を推測する。
買い希望値が年初の350万円から、現在400万円まで上昇したレインボーCC(神奈川県)は、もともと夫婦連れでプレーする会員が多く、かねてから夫人の購入希望が多かったそうだ。
それに加え、今月6日に新クラブハウスがオープン。パウダールームなど女性施設が拡充され、上昇に拍車がかかったのだろう(一般の正会員権も325万円で年初より14パーセント上昇)
「この夏は、平日に女性割引を実施したこともあり、確かに女性客は多くなりましたね。それにハウスが新しくなったことで、需要が高まったのかもしれません」(営業担当)
もともと高い女性会員権がさらに高くなりつつあるとは。お金持ちの女性が増えたのだろうか?
「いえいえ。ご夫婦でご相談に見えるお客様が多くなりました。定年後は、お二人でゴルフを楽しみたいと……」と前出・佐川社長。
もっとも、同社のデータでは、取引価格にはまだ顕著な上昇傾向は見られないとのこと。
それでも、「お客様の声と市場の動向から、今年末から来年にかけて、(女性会員権の価格が)上昇する気配は感じてます」と今後の見通しを語る。
07年から団塊世代が定年を迎え、それで「夫婦でゴルフを!」の需要が高まることは確かなようだ。
また、最近は女子の月例競技など女性会員向けのイベントやサービスを実施させるコースが増えている。そのため、ゴルフ仲間を誘い合って入会する例も少なくない。会員権市場の回復も女性頼み? なのかも。
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