日本ゴルフ協会、全日本ゴルフ練習場連盟(JGRA)など関連10団体により設立されたNPO法人日本ジュニアゴルファー育成協議会(JGC)では、今年からジュニアの『ゴルファー度』を審査する検定制度を実施。去る19日、そのゴルフ場での実技と筆記による検定試験が初めて行われた。
この検定制度は18歳までのジュニアを対象に、1級(エチケット・マナーに優れ、ボギーペースでラウンドできる)から15級(正しいグリップ、アドレスができる)まで技量、及びルール&マナーの理解度を審査するもので、合格者には各級の検定バッジが与えられる。
そして、バッジ取得者には認定の練習場や一部ゴルフ場でジュニア特別料金などの優遇制度が受けられることになっている。
第1回の検定テストは、今年8月1日に都内練習場のハイランドセンターで、11級~15級(10級以内がコースプレーの実力が認められる)の検定試験を実施。29人が受験し、うち21人が合格した。
そして、今月19日、1級~10級を審査する初めてのコース検定が埼玉県のおおむらさきGCで行われた。この試験には7歳~16歳までの23人が受験。筆記とコースでの実技、ルール&マナーの習熟度を審査した結果、うち16名が合格した。
ただし、「落とすことが目的ではない」(JGC事務局)ため、不合格者はその後、各練習場のインストラクター(検定員)などから不合格ポイントを再度指導、確認され、後日、受験した級の取得が認められる。
この制度が設けられた目的には、もちろんジュニアのゴルフ振興がある。「練習場に通うジュニアに対し上達の度合いを客観的に示す指標があれば、ジュニア自身には練習の励みになります。また、保護者の理解や応援も受けやすくなります」(JGRA・三宅伸宜事務局長)
つまり、子供たちが練習場に通っているのはいいが、真面目に練習しているのだろうか? という不安を取り除く制度になるというのだ。
ゴルフ場のジュニアへの開放をスムーズに進める狙いもある。
「ジュニア振興というと、一般にトップアマチュアの育成と思われますが、この制度の目的はまったく違います。以前、ジュニアには大変理解のある某ゴルフ場の社長さんから、『ジュニアの受け入れの推進と言われても、どのレベルのジュニアをどのように受け入れたらいいのかわからない。だから、上手な選手に偏りがちになる』と悩みを打ち明けられたことがありました」(JGC理事・吉田実立氏)。
そこで、技量だけでなくゴルファーとしての習熟度を客観的に示す、全国的な等級があれば、ゴルフ場の受け入れもより推進できると考えたという。
それだけではない。現在、ジュニアを審査する検定員は、練習場のインストラクターを中心に30名余しかいないが、これを一般ゴルファーにも呼びかけ、検定員を大幅増員させようというのだ。
そうした一般の検定員は、検定試験の会場ではもちろん、日頃の練習場でもエチケット&マナーを中心にジュニアを指導する役目を負う。
「子供をしかる大人がいなくなったと同様に、ゴルフ場でもジュニアにマナーを厳しく指摘するゴルファーがいなくなりました。そうした環境を、検定制度を普及させることで変えていきたい。そして、ジュニアには、公共のマナーを指導されることにより、社会人としてのライフスキルを身につける下地になればと思っています」(吉田理事)
ジュニアを検定するには、検定する大人の側も良きゴルファーとしての常識と覚悟が試されるのだ。最近は「大人のゴルファーための検定テストも必要だ」という声が聞かれそうだが……。
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