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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 10/11号
2005/10/5更新
「文壇コース」として知られる霞台CC
倒産&再生計画は依然ゴタゴタ続き

 経営陣の内紛が泥沼の法定闘争に発展、約2年近くにわたって混乱が続いてきた霞台カントリークラブが、再建に向けて動き出している。

 債権者であるゴールドマン・サックス(以下、GS)のグループ会社や一部の会員らが、経営会社の株式会社霞台カントリークラブ(以下、霞台)の会社更生手続きの開始を申し立てていたが、8月18日に開始決定が下り、来年5月31日の更生計画案提出期限に向けた手続きが始まる。

 霞台CCは作家の井上友一郎氏が昭和45年にオープンさせたコースだけに、文壇関係の会員が多いことで知られるが、平成15年秋以降、預託金問題が現実化、時を同じくして井上氏の子女である井上真帆子社長と、梅原武会長が経営権を巡って対立。

 霞台の発行済み株式の約85パーセントの所有権を主張する井上真帆子氏が、所有株式をGSグループに譲渡したため、平成16年3月23日の株主総会で、小杉健二氏らアコーディアの関係者3名が取締役に就任、以後、アコーディアがコースの運営管理にあたることになった。

 しかし対立する梅原武氏は、発行済み株式総数の51パーセントの所有権を主張、井上真帆子氏によるGSグループへの株式譲渡と、それに基づく平成16年6月23日の株主総会、そしてアコーディア関係者の取締役就任の無効を訴え、泥沼の法定闘争に突入した。

 梅原氏側は今年4月に勝訴が確定、5月に代表取締役に就任し、アコーディア関係者は経営から退くことに。

 GSのグループ会社と会員が、債権者として共同で、会社更生手続の開始を申立てたのはその約1カ月後の今年6月9日だったが、7月には再度どんでん返しが起きる。

 井上真帆子氏の子息・井上将氏が申し立てていた、少数株主による株主総会招集を東京地裁が許可、臨時株主総会を経て、再びアコーディア関係者が取締役に復帰した。

 つまり、GSは自ら申し立てた会社更生手続きの開始決定を待っている間に、経営権を回復、その後に経営権を失う可能性を孕む、会社更生手続きの開始決定を受ける、という皮肉な展開になってしまったわけだ。

 会社側の申立代理人が主導権を握ってコトを進めていく民事再生と違い、手続きが厳格な会社更生では何よりも優先されるのは、より多くの議決権を持つ債権者だ。

 9月1日に日比谷公会堂で開催された債権者説明会で配布された資料では、昨年9月末時点で負債は総額109億円で、金融機関債務はなく、約5500名の会員から集めた預託金が107億円を占める。36Hのコースにしては少ない。

これならコース運営の改善度次第では、スポンサーなしの自主再建の可能性もなくはないと言えそうだが、スポンサー付きとなった場合、落札価格は「最低でも20億円はいく」(ゴルフ場業界関係者)と言われている。約100億円の負債で20億円なら、単純に計算すれば配当率は2割という高配当になる。

 ところで、GSは経営権を押さえながら、他の候補と横並びの競争を余儀なくされ、アドバンテージがないのかというと、実はそうでもない。9月1日の説明会で提示された決算書類はあくまで昨年9月時点のもの。

 GSグループは今年2月にコース施設に抵当権を設定しているので、唯一の更生担保権者。会社更生では無担保の一般更生債権者と、担保を持つ更生担保権者とでは別々に決議がとられる。

 入札でGS以外の候補者がスポンサーの座を獲得した場合、GSが更生担保権者としてノーを突きつける可能性もある。

「一般更生債権者と更生担保権者とで結論が異なった場合、理論的には更生法200条1項に権利保護条項というのがあって、反対組に一定の補償をして更生計画認可できる道は用意されている。現実には清川CCで更生担保権者のローンスターと、一般更生債権者たる会員の対立がありローンスターが退いた。大洋緑化の都GCでも管財人側は権利保護条項は使わなかった」(前出の倒産法に詳しい弁護士)。

 一般更生債権者の圧倒的多数を占める会員たちは、どういう結論を出すのか。注目される。

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