ゴルフトーナメントで、レーザー距離測定器が使えるようになる? R&AとUSGAは先頃、2006~2007年のゴルフルール裁定集の内容を発表したが、その中には、注目すべき新ルールとも取れる、ルールの裁定が含まれている。
来年1月から施行される今回の新ルール裁定の目玉は、なんと言っても、距離測定機器の使用をローカルルールで認めることを許したことだろう。
アメリカのミニツアーでは、キャディを雇えないプレーヤーのために、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)の使用を許すところがあるが、今回の新裁定では、こうしたGPSを含めてレーザー距離測定器などの使用も認めている。
ゴルフコースによっては、ゴルフカートにGPS器を取り付け、ゴルファーにピンまでの距離を正確に分からせるシステムを導入しているところが増えているが、従来のルールでは、こうした機器をコンペなどで使用することを禁じていた。
しかしプロやトップアマの世界では、レーザー距離測定器などを練習ラウンドに持ち込むことが当たり前の時代になり、本戦では使えないとはいえ、ある意味では有名無実になりつつあったといえるだろう。
しかも米国では数多く開催されているミニツアーのように、プロのキャディを雇う金のないプレーヤーが戦うトーナメントなどでは、こうした機材を持つプレーヤーと、それを持たないプレーヤーとの間に不平等が生まれている。
今回の新裁定では、あくまでローカルルールで承認されることが前提だが、こうした不平等を是正しようとするものとして、評価されている。
もう一つの大きな変更点は、2年前の全英オープンでマーク・ローが優勝争いに加わりながら失格となった、スコアカードの取り違え事件がきっかけになったものだ。
この事件というのは、ロイヤル・セントジョージズで開催された2年前の全英オープンの3日目、ローがイェスパー・パーネビックとスコアカードを1番ティで交換するのを忘れ、そのまま相手のスコアを記入してサインし、提出してしまったもの。
つまりカード上では、この日67でラウンドしたローのスコアがパーネビックの81となり、スコア誤記で二人とも失格になってしまった。
今回の新裁定では、こうした「処理上のミス」については、プレーヤーがアテストテントを出たあとでも、ペナルティなしに書き変えることを許している。
「私のミステークから、良い意味でのルール改正がなされたことは、とても嬉しい。こうしたことは、再び起こりうること」とローが語るように、R&AとUSGAは、あくまで実質を重視する現実路線で、ルール裁定を行ってゆく方針のようだ。
現実路線という点では、これまでは、ホールに向かって両足を直角に構えてパットをしてはならない、というルールがあったが、これもプレーイングパートナーのラインを避けるためであれば、新裁定では許されるものになった。
今年のマスターズでは、初日14番ホールで、タイガー・ウッズがショートパットで「お先に」をやった際、このスタンスの向きが問題になった。
またヨーロッパツアーでは今年、ブライアン・デービスというプレーヤーが、このルールのために失格になるという事件が起きているが、今回の裁定で、こうした悲劇が避けられることになったと言えるだろう。
さらにUSGAでは、「PCデシジョン」というソフトを開発したことを発表、ルールの裁定例が、小型コンピュータなどでも手軽に見られるようにしている。
|