今年の日本オープンは開催コースの廣野GCそのものがひつとの見所でもあった。コースレート75.8のこの難コース、優勝した片山晋呉はそのセッティングに対し『ここで全米オープンをやってもいいくらいの難易度だと思う』と最大級の賛辞を送ったが、さて、他の出場選手たちはどう評価しただろうか。
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ナショナルオープンだもの
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今回のコースセッティングについて、日本オープン名物であるラフの設定を大会2位の川岸良兼は「短くて一見、出しやすそうだけど、雨で重さが増したとこともあり、最近のトーナメントでは最もキツく感じた」と言う。
2年前の日本オープンを制した深堀圭一郎は「今までの日本オープンはラフに入っても欲しい距離が打てる確率が5割くらいはあった。
でも今回は1割。ラフに入ったらしっかりペナルティを受ける、そういう意味ではフェアな設定だった」と感想を述べる。
日本シリーズなどの公式戦歴代勝者の宮本勝昌が「野芝ではなくコーライ芝を伸ばしたラフなので密度が高く、ヘッドが抜けなくて難しさを感じた」と言うとおり、長くはないが密度が濃い、今回のラフの設定については手を焼いたようだ。
さらに、もう一つの日本オープン名物、狭いフェアウェイについては 「16番は狭かったが、他のホールはいつもの日本オープンと比べても狭くなかった」(川岸) 「アンダーパーは出させない、という強引な意図を感じるようなフェアウェイの絞り方は今回なかった」(宮本) など、これまでの大会に比べて、特に厳しくはなかったようだ。
深堀は「JGAの川田(太三)さんが今年、僕が出たUSオープンのマーシャルで来ていた時に、『日本オープンも今後、(このUSオープンのように)国際基準に合うフェアウェイの取り方をしていきたい』と言っていたが、今回はその通りフェアなセッティングになっていたと思う」と言う。
一方で、グリーンの難易度については 「ハードな設定にしていなかった、というか出来なかったと聞いている。もしUSオープン並みのグリーンコンディションだったら、大変な難易度になっていただろう」 と深堀が言うように、グリーンの速さに関しては、今回は(雨の影響も多かったが)例年に比べ速くなかったという意見が多かった。
また廣野GCというコースが固有に持つ難易度についてだが、片山は「特にアウトは選手の勇気が試されるホールが続く」との印象だったようだが、他の選手はどうだっただろう。
1番ホールを難易度NO.1に挙げた宮本は「距離が長い(477ヤード)し、微妙にフェアウェイが馬の背のように真ん中が盛り上がって見えて、左右どちらに打ってもラフに行きそうな気がした」(宮本)と、地形がもたらすトリックによる難しさを挙げた。
この1番ホールを含めた1~4番ホールの4つのパー4は距離も長く、ラフに入ったらスコアがまとまらないと言う選手が多くいた。
トリックという点では、「14番はティグラウンドからフェアウェイが50ヤードもあるくらい広く見えるけど、実際はその3分の1しか使えない」(川岸・宮本)というホールもあった。
インコースの17番パー3を難ホールに挙げる選手も多かった。
藤田寛之は「3日目はトリプルで最終日は池に入りダブルボギー。左右にバンカーがあり、231ヤードという長い距離で、パーで上がるのも難しいホール」と言う。
これらを総合的に見たとき、例年の日本オープンと比べた今大会の難易度はどうだったか、という印象については、 「自分や、(片山)晋呉のようなアマチュア時代にナショナルチーム育ちの選手にとっては、廣野は特別な思い入れがある。その分だけ気持ち的な難易度が増した部分があったと思う」(宮本) という意見に集約されているようだ。
実際に、今大会の目玉だった中学3年生のアマチュア・伊藤涼太は「ラフの長さ、グリーンの硬さ、この2つを比べても今年の廣野より去年の片山津のほうが難しく感じた」と、先入観のない率直な意見を述べていた。
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