週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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　今年2月に民事再生手続きの開始を申立て、その一週間後にRCC（整理回収機構）から会社更生手続きの開始を申立てられていたシンコーグループのスポンサーが、オリックスに決まった。シンコーグループ傘下のコース数は6コースだが、一度に1社が取得出来たコース数はこれでも今年最多。ゴルフ場争奪戦線は個別コース1本釣り時代に完全に移行したようだ。

　今年に入って経営者の交代が正式に決定したゴルフ場経営会社のうち、コース数での最多は、大洋緑化14コースのうちローンスター（以下、LS）が引き継いだ12コースだが、昨年3月には、いったんLSが14コース全てのスポンサーに就任する決定が管財人から発表されていた。

　しかしその後、山形GCと都GCの2コースについて、会員が自主再建の意志を表明、結局この2コースの各経営会社2社の更生計画案のみ、自主再建型に切り替え、計画認可に至ったのが今年の8月のこと。

　従って、大洋緑化の12コースのスポンサーに正式にLSが就任したのは今年になってからだが、実質的には昨年と言っていいだろう。

　昨年3月、シンコー同様にRCCから会社更生手続きの開始を申立てられていた私市グループは、今年1月に9コースのうち6コースがゴールドマン・サックス（以下、GS）のスポンサー就任が正式に決定。

　同じく最多で並ぶのは、オリックスが獲得した富士カントリーグループの6コース。

　今年7月の債権者集会で正式にオリックスへの譲渡が可決されたが、オリックスは昨年秋に、同じ富士カングループ3コースを取得しており、今年の6コースも含めて、合計9コースを富士カンから取得したことになる。

　しかしこれ以外となると、日本土地建物などみずほ銀行の親密先企業で設立したレイクウッドコーポレーションが、湘南観光開発から4コースの取得を今年1月に正式取り付けているぐらいで、しかもこれも内定は昨年だった。

　平成8年の日東興業から始まった大手専業の法的手続き申立によって、一度に多数のコースを取得出来るチャンスが到来、GSは日東興業（29コース）、スポーツ振興（26コース）、緑営（14コース）と、3社のスポンサー就任で獲得したコースは69。

　一方のLSは日本ゴルフ振興（28コース）、地産（16コース）、STT（11コース）、大洋緑化（12コース）と、4社のスポンサー就任で獲得したコースは67。

　最後の『大型の出物』と言われた富士カントリーグループの場合は、ある程度コースごとに経営会社が分かれていたこともあり、法的手続きが必要なコースとそうでないコースが線引きされ、必要な13コースの経営会社のみが法的手続きに踏みきり、スポンサーも複数に分かれた。

　その結果、オリックスは最大の9コースを獲得出来たわけだが、13コースまるまるというわけにはいかなかった。

　また、平成14年にRCCと調停で合意しながら、後に再生法に移行した国内8コースの信和ゴルフは、1コースを除いた7コースの経営会社について、今年9月に株主会員制による自主再建計画が認可決定を受け、スポンサーの出る幕はなくなった。

　大型の出物がほぼ出尽くし、ただでさえ『誰もが欲しいコース』の一本釣り指向が進む一方、国内勢、台湾、韓国勢の相次ぐ買収戦線参入で、競争は激しさを増す一方。1コースあたりの価格もウナギのぼりだ。

　高い取得価格で投資を回収しようとすれば、そのツケはとかく会員に回される、という意識も会員に浸透。スポンサー抜きの再建を目指す会員組織も買収戦線に参戦するようになった。

　主要債権者である会員の意向を汲んで、管財人など、法的手続きを仕切る弁護士がスポンサー候補に対し取得後の会員の処遇についての確認を行っていないわけではない。

　しかし「あくまで口約束程度が限界。取得してからどこまでスポンサー企業が約束を具体化するのかまでは拘束できない。結局スポンサーをとれるか否かは金額次第ということになってしまう」（ゴルフ場業界関係者）というのが現状だ。

　ゴルフ場の獲得を巡って、水面下で熾烈な争いが展開される中、耳を疑うような強引な手口を使ったケースを耳にする機会も急増している。

　自分のプレー環境は自分で守る。会員権を持つゴルファーにはその覚悟が求められているのだ。