来週は国内シニアの最高峰、日本シニアオープンが埼玉県の名門コース・嵐山CCで開催される。ところで、日本ゴルフ協会(JGA)主催の3大オープンのうち、今年は日本女子オープン、日本オープンとも大都市に隣接した名門クラブが舞台だった。女子の戸塚CCと男子の廣野GC。大都市近郊の人気コースゆえの苦労など、舞台裏をのぞいてみた。
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大ギャラリーを上手にさばいた
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日本オープンの舞台となった廣野GC。ゴルファーにとっては憧れのコースでの38年ぶりの開催。それだけに大会運営側の悩みは大きかった。
スペースの制約と、コース周辺にギャラリー駐車場が確保できず、アクセスは鉄道だけというギャラリー輸送の問題から、もともと入場者数は1万人以下に抑える方針だった。
ところが、幸い(?)ツアー人気が女子に押され、優勝争いが白熱した最終日でも6800人どまり。そのため運営にはさしたる混乱もなく、スムーズに行われた。
「テレビ中継では分らなかったでしょうが、それでも現場はギャラリーで大混雑でしたね。廣野はコースが荒れることを嫌がり、チケット販売も熱心でなかったそうですが、終わってみれば、それで良かったのかも」とある運営関係者はもらす。
実際、廣野GCのメンバーにも開催反対の声が強かったそうだが、大会後に感想を求めると、
「確かに賛否両論がありました。でも、日本のゴルフ文化発展のためにこれだけのコースがあることを大勢の人に見てもらいたいという思いもあった。確かにコースは荒れましたが、やって良かったと思います。選手たちのプレーマナーも意外と良かったし……」(あるメンバーの声)
また、廣野GCといえば「廣野流」の厳格なマナーでも知られる。しかし、これに関しても
「運営会社の方によれば、選手の服装はいつもより落ち着いていたとのこと。気を遣っていただけたのでしょう」(山羽仁支配人)
こうした落ち着いた運営の日本オープンとは対照的だったのが、日本女子オープンだ。最終日は、有料ギャラリーだけでも2万1000人、関係者を合わせると2万4000人もの入場者を記録した。「当初の見込みは、木・金が4000人、最終日は1万5000人でした」(ミズノのトーナメント運営担当者)
ところが、初日いきなり予想の1.5倍の6000人が来場。また、大会本部には当日券やアクセスなどの問い合わせ電話が、一時も途切れることなくかかってきた。
そして、こちらは日本オープンとは違い、36ホールの広い会場であることから、当日券は無制限に発売する。そのため運営側は「最終日は2万人を超える」と判断、急きょ対策を練り直すことになった。
混雑が心配される送迎バスは、「急ぎ8台増発して36台にしました」(輸送担当の運営会社)
また、送迎バス利用者が最も多い東戸塚駅は、日頃から乗降客が多い駅で、改札口や券売機など輸送インフラが整っていた。
そして、都会のラッシュ慣れ(?)した客が多かったからだろうか、輸送は予想以上に整然と行われ、トラブルもほとんどなかった。
もっとも裏では、「朝4時30分に会場に行ったら、既に開場を待つ一団がいたのでビックリ。開場時間にはどうなるのかと心配しました」とか、 「今回はダフ屋が出てたので、その排除に気を配りました」といった苦労話はあったのだが……。
それでも「これだけの人が集まると予想外の事故があるものですが、今回は初日に打球事故が1件あっただけでした」(前出・ミズノの運営担当者)
と、今回の成功には運も味方してくれたようだ。
またある運営関係者が「一番助かったのは、観戦慣れした方が多く、こちらの指示に素直に従ってくれたことでした」と話すように、今後の「都市型トーナメント」運営のお手本になったようだ。
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