米女子ツアー史上初の同一大会5連覇が、日本を舞台に成し遂げられた。日米女子ツアーが共催し、毎年、日本で行われるミズノクラシックは、今年もアニカ・ソレンスタムの独壇場だった。
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確かに強い
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3日間54ホールで21アンダーの好スコアは、同じ瀬田GC(滋賀県)で行われた一昨年の24アンダー、昨年の22アンダーには及ばなかったものの、今年もビッグスコアを叩き出して楽々優勝。後には「コースがやさしいのか、日米格差があるのか?」という疑問だけが残った。
毎年、この大会のテレビ解説を務め、メジャーを含めた米女子ツアーの取材も数多くこなしているゴルフ評論家、岩田禎夫氏は「見ての通り。実力がそのまま成績になっただけ」と、すっぱりと言い切った。
確かに優勝したソレンスタム、2位ジェニファー・ロザレス以下、トップ9は米ツアー勢ばかりの中で、唯一、5年連続日本の賞金女王、不動裕理が3位タイに食い込んでいる。
さらに10位タイ5人の中には不動と女王争いを演じている宮里藍と現在ランク6位の大山志保が何とか食い込んでいるが、やはり実力の差が数字となって現れている。
ツアーの平均ストロークを見ると(数字はいずれも11月6日現在のもので、日本ツアーは小数第3位以下は切り捨て)実力格差はさらに裏付けられる。米ツアートップのソレンスタムは69.26。これに対して日本は不動の70.50と、1ストローク違う。
さらに、28位のマリサ・ビエナまでがアンダーパーの米ツアーに対し、日本は表純子までの8人だけという有様で、中堅どころの力が圧倒的に違っている。
もちろん、それぞれ違うコースでプレーしているのだから単純に比較できない、という声もあるかもしれない。
だが、米ツアーでもやさしいパブリックコースが会場の場合、爆発的なスコアが出ることもあれば、全米女子オープンのように日本にはない難しいセッティングのケースもあり、条件に決定的な差があるとは思えず、スコアがそのまま実力だと思っていいだろう。
開催コースの瀬田GCは、ショットに対するプレッシャーが少なく、ミスショットしてもフェアウェイに戻ってくることも多い典型的な接待コース。
確かにやさしいが、「特に今年はやさしかったのでは。元々、一般営業重視のコースだったが、今年は特にトーナメント用にセットアップした形跡が少なかった」と、関係者が口を揃える状況だった。
その裏には、トーナメント開催よりも営業、というスタンスがはっきりと見えてくる。
「前人未踏の5連覇は、とても嬉しい。この大会はこの記録のために緊張しました。いつも以上に完璧を目指しました」と、優勝の喜びと共にソレンスタムは振り返ったが、コースが難しければこんなことは考えないはず。
この言葉が難なく口から出たのは、それほど完璧を目指せる状況にあった、という証明に他ならない。
せっかく日米両ツアーが一緒に戦う年に1回の機会なのだから、コース選択、セッティングについてももっと考えたほうがいいという意見もあるが、「それではますますアニカが楽になってしまう」と岩田氏が苦笑するような現実を人気先行の女子プロ界もしっかりと見据えるべきだろう。
ミズノクラシックは来年、三重県のリゾートコース、賢島CCに舞台を移すことがすでに決定し、大会直後には早々と発表されているが、根本的に日本のレベルを底上げしない限り、どこでやっても似たような結果になってしまうだろう。
来季の米ツアーを目指して、宮里、諸見里しのぶが間もなくQスクールファイナルステージに挑むが、その後も厳しい戦いが待っているのはいうまでもない。
ラウンド数が少ないため、ランク入りしていない諸見里はともかく、宮里は現在、不動に続く2位で70.72ストローク。このままの力を1年目で出せるかどうかがカギとなる。
メジャーは別としても通常の試合なら60台前半のスコアが続出し、最終日にまくって勝つのがあたり前、という状況が多い米ツアー。Qスクールでもこれまで以上に忍耐強く戦い、世界に羽ばたいてもらいたい。
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