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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 11/29号
2005/11/17更新
「早く決着してゴルフオンリーの人生を歩みたい」
経営破綻しても再起を誓うジャンボの「商品価値」

 先週木曜日、三井住友VISA太平洋マスターズの初日、民事再生手続き申請で経済的に破綻していたことが分かって以降、初めてジャンボ尾崎が公に姿を現した。そして、待ち受ける大勢の記者の前に、今事態について可能な限り語るという姿勢で臨んだ。その顔には、積年の重みがとれたのだろう、すっきりした表情が見られた。

 ジャンボはまず、民事再生に踏み切った理由をこう説明した。

「この件は今に始まったことじゃない。それがもうちょっとで特定調停に持って行って全部、解決する予定だったんだよ。残り4社のうち3社は了解してくれたんだ。ある1社が首を縦に振らなかった。だから弁護士と話を進めた」

 特定調停とは裁判所を通して、調停委員が間に立って行う協議和解による債務整理。問題の債務は8社に16億円と先に発表されていたが、うち4社とこの手法で返済を進める計画だったが、結局合意を得られなかったようだ。

 そして、「(債務は)すべて保証人としての立場からこうなった」と説明しながらも、「保証人になったことは自分のミス」と自己の責任を認める。

「ここ2、3年はいろんなトラブルがあって、実際に精神的な打撃を受けないということはなかった。まあ、これも人生と思う」と気持ちの整理はついているようだが、実際の債務の整理が始まるのは返済プランの提出と、債権者の同意を待っての来春以降になる。

「早く片づけたい。それから再スタートを切りたい。ゼロからのスタートというのは、いつでもやってきたし。そういうことには慣れている。うまく片づけば、そこからのスタートというのは、夢がある。新しいものをまた作っていく、そういうふうなものに全力投球できるわけだから……。
別にオレは金に執着があるわけじゃないし、別になくったって自分がゴルフを純粋な気持ちで追求できれば、それでいいわけだから。今度は優勝して(新聞の)1面にしたいね」

 もっともジャンボ、そして彼を取り巻く男子ツアーの現況は決して明るくはない。用具メーカーも含め、スポンサーの目は女子ツアーに集まっているからだ。それでも再起を誓うジャンボに高い『商品価値』を認める関係者は少なくない。

「今だってジャンボが最終日最終組でラウンドする展開になれば、最近の男子ツアーにないTV視聴率を稼ぐでしょう。集客力という点では、いまだに男子のトップクラスですね」と語るのは、古くからジャンボの番組を手がけてきた元テレビ朝日プロデューサー、三好康之氏(テレテック専務)だ。

 ただし、ジャンボの『再生』のためには「かつてのようにプロアマを欠場したり、ファンのサインの求めを拒否したりといった態度はもう改めるべきでしょう。それから大勢のファンが喜んでくれるんですから、シニア競技でもプレーしたらいいんですよ」と注文する。

 また、20年以上の付き合いがある関係者は「指導者としての腕前は一級品」として、後進を育てる道を勧める。

 言うまでもなくジャンボは二人の弟のほか、飯合肇、金子柱憲、東聡らを育て、川岸良兼などの再生を手助けしてきた。

「今なら若い世代にもジャンボを慕うゴルファーが多いんだから、早いうちに彼らを教え、本格的に指導者としての実績を作るべき」と提案する。

 ひょっとしたらジャンボには来年にも奮起一番のいいきっかけが訪れそうな気配もある。それは先日、岡本綾子の受賞式が行われた「世界ゴルフ殿堂」入りの栄誉だ。

 今春、岡本の受賞の陰でほとんど話題にならなかったが、同国際部門の投票では岡本(得票率52パーセント)に続き、ジャンボは得票率48パーセントの次点だった。

「国際部門の候補者は少なく、ライバルがほとんどいない状況(3位は29パーセントのサンディ・ライル)。また、審査員の投票に今回のことがマイナスになることもありませんから、ジャンボが来年選ばれる確率は高いのではないでしょうか」と予想するのは、かつて同審査員を務めていたゴルフジャーナリストだ。

 もし殿堂入りとなれば、再起への大きなきっかけになりそうだ。今後ジャンボは、どんな姿で再生を果たすのだろうか。

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