宮里藍や諸見里しのぶが、米女子ツアーのQT(クオリファイング・トーナメント)に挑戦する話題にゴルフ界の目が集中しているが、一足先に、日本の倉本昌弘、尾崎直道、友利勝良が米シニア、チャンピオンズ・ツアーのQTに挑んで、見事に倉本と尾崎が来年のシードを獲得、友利も条件付の合格という朗報がもたらされた。
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トップ合格のマッシ―倉本
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「長い長い6日間で、非常に疲れたよ。最終日はこの風の中、低いボールを打ち、1打1打に集中することだけを考えていた。毎ホールパーが取れればいいと思っていたが、この強い風のために、非常に難しかった。でもようやく終えることが出来た。今は十分に満足している」と語ったのは、トップ合格でメダリストにも輝いた倉本だ。
この試合は11月16日から21日まで、米カリフォルニア州で開催されたが、倉本が語るように6日間の長丁場の上、強風が吹き荒れるという、体力戦となった。
そうした中で、一旦はアメリカのスコット・メーシンギルというプレーヤーに並ばれたものの最終日4番、5番ホールのイーグル、バーディで突き放し、結局そのまま逃げ切った。
最終日70、通算429ストロークの3アンダーで、メダリストの名誉と4万5000ドル、500万円強の賞金を手にしている。
4日目にリーダーズボードのトップにいた尾崎直道は、結局1オーバーの433ストロークで単独3位(賞金2万1000ドル)、友利は5日目の77、5オーバーがひびいて、通算437ストロークの10位タイ(賞金6500ドル)で、条件付きながら来年のシードを一応確保した。
この条件付きのシードには、8名のプレーヤーが合格しているが、トーナメントに空き枠がある場合に参加資格が与えられるため、優先順位をつける必要がある。
そこで10位タイのプレーヤー同士でプレーオフが行われ、友利はヤンキースやドジャーズで活躍した元大リーガーのリック・ローデンについで13位になった。条件付きプレーヤーの中では5番目の順位が付けられている。
この順位だと人気のある試合には、ちょっと参戦が難しく、試合直前まで出場が出来るかどうかわからないといった条件はあるものの、かなりの試合数を消化できると思われる。
今年は日本から3名のプレーヤーがシニアのQTに挑戦して、一人は条件付とはいえ、3人とも来年のシード権をものにしたのだから、これはやはり快挙と言っていいだろう。
チャンピオンズ・ツアーは、その名の通り「チャンピオンたちのツアー」ということで、レギュラーツアーでの優勝経験のあるプレーヤーたちに優先的にシード権を与えている。
ある意味では、興行面で名の知られているプレーヤーを多く集めることによって、ギャラリー数や視聴率をアップさせようという目論見なのだが、そのしわ寄せがQTに出て、合格枠がわずかに7名、条件付のシードを入れても、15名しかいない激戦区になっているのだ。
かつて、QT上がりのプレーヤーたちが実際の試合で大活躍しているにもかかわらず、あまりにシード権の切符が少ないために「晩成型のゴルファーを差別している」として、PGAツアーを裁判に訴えたプレーヤーがいるほど。
PGAツアーやLPGAのQTに比べると、合格者の数は3分の1、4分の1ということになり、世界のQTの中でも、もっとも難しい関門と言われている。
そんな中で、日本人3名が上位に入ったというのだから、来季のツアーでは大いに期待が持てそうだ。高い弾道で、飛距離を出すことがアメリカのゴルフ界のトレンドになりつつある中で、今年のQTでは強風が吹き荒れたことが日本人プレーヤーに幸いしたという見方もある。
しかし、強風に負けないだけのテクニックを持っていたからこその上位進出だったとも言えるだろう。考えてみれば、3名ともに日本を代表するトッププロであることは確かだからだ。
来年は、ミッシェル・ウィやおそらく宮里藍も活躍するだろう米女子ツアーばかりでなく、いぶし銀のテクニックで楽しませる米シニアのチャンピオンズ・ツアーからも目が離せない。
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