国内女子ツアーは先週、今季33試合の全日程を終えたが、先に確定した来季の賞金シード権は大幅な入替えとなった。最近にない新旧交代劇となったシード権争いの背景を探ってみた。
賞金ランキングによる来季シード権は、永久シードの不動裕理とメンバー外のP・クリーマーを除く、上位52位までの50人。その中で来季初シードは、実に14人にも昇る。
ここ数年の初シードの人数を見ると、03年まで6~8人程度で推移したのが、QT制度が実施された04年から急増。04年は12人、宮里藍と横峯さくらが含まれる今年は11人、そして来年は14人と2桁台が続いている。
そして14人の顔ぶれをみると、昨年QTを初受験した選手が8人(うち5人は韓国勢)。それにQT未受験の諸見里しのぶを加えると、9人までが今季のツアー新人ということになる。
若手選手層が厚くなったと同時に、プロテストを受けなくても、ツアーへの道が開けるQT制度が新旧交代を激化させたようだ。
女子トーナメントのプロデューサーでもある戸張捷氏は、こうした傾向について、ツアー活性化策の成果と評価したうえで、
「例えば諸見里はアマチュア時代からツアー競技を数多く経験していたので、プロになってもすぐに実力を発揮できた。最近、ジュニアのツアー競技出場が増えていることを考えると、新人がすぐにシード権を獲得する傾向は今後も強まるのでは……」と語る。
同様に、選手層が厚くなった下部ツアー(ステップアップツアー)の存在も、若い力を伸ばし、上でいきなり活躍させるいい土壌になっていると指摘する。
そして、「これだけシード権を狙える選手の層が厚くなれば、50人という賞金シードの見直しも必要かも知れません」とも。
ところで、その激しいシード権争いを勝ち抜いた、初シード組の一人、塩田亜飛美は周囲の関係者への謝意を述べた上で、
「今季は予選通過が半分弱とあまり安定した結果を残すことができず、体調を整えるのに苦労しました。でも、トップ10にも何度か入って少し自信がついたので、来季はシード選手としての義務をきちんと果たすことと、常に予選通過できる安定したプレーができるようにオフの間に技術と体力の蓄えをしっかり行いたいと思います」と抱負を語る。
また、高崎奈央子は「1年間プレーして、体力づくりの必要性を感じました。でも、シード権がなければ、目先のQTのことで頭がいっぱいで一年を通した課題なんて考えられなかったでしょうね」とシード権のありがたさを口にする。
一方、シード落ち組に目を転じると、例年以上にビッグネームが並んでいる。なかでも、昨年ランク3位の北田瑠衣のシード落ちは「意外」のひと言だ。98年に2位だった原田香里が翌年60位でシード落ちして以来の急降下である。
北田のつまずきは昨年暮の右手骨折に始まった。2月、宮里と組んでのワールドカップ優勝も、練習不足で臨んだために大苦戦。
そして、ツアー開幕後は、スウィング改造やコーチの変更と地に足が着かぬままシーズンを送るうちに、もともと得意のパッティングまで不調に陥った。まだ23歳の若さ。焦らずにカムバックしてもらいたい。
また、今回のシード落ちには、かつての賞金女王で、ママさん選手の平瀬真由美と塩谷育代の二人が含まれたのも、寂しいところだ。今週開催のファイナルQTでの復帰を願いたい。
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