それにしても今季の女子ツアーの人気は凄まじかった。かつてを知るものにとってはテレビ視聴率、ギャラリー動員数、取材陣の数……、何をとっても隔世の感を強くする。ところが、その賑わい、ツアー終了後の今も続いているところがある。大会の舞台となった開催コースだ。
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アイちゃん効果はゴルフ場にも
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今季の女子ツアー人気を象徴するのは、最終日に2万1000人、まさに溢れんばかりのギャラリー数を集めた日本女子オープンだろう。
その舞台となった神奈川県の名門コース、戸塚CCでは大会終了後、全国からプレーの問い合わせが殺到した。それにより、入場者数は堅実に伸びたが、もともと都心に近い人気コースなので目立った数字ではないようだ。
しかし、会員権価格を見ると、大会後は堅調に値を上げている。買い希望価格で、9月30日の2850万円から現在は2950万円(11月25日)まで上昇している(住地ゴルフ調べ)
もっとも「株価の回復に合わせ、会員権相場も戸塚のような高額コースは軒並み上げております」(住地ゴルフ)とのことだが、当の戸塚CCは「確かに、入会希望者は増えているようです。やはり大会の好影響があるように思います」(是久尚敬支配人)と手ごたえを実感している。
恐るべし、女子ツアー効果といったところか。
その思いをさらに強くさせるのが、6月にリゾートトラストレディスが開催されたグランディ那須白河GC(福島県)だ。
「入場者数は、大会以降ずっと昨年の倍増です。もうプレーには寒いんですが、休日はいまだに満員。平日でも平均40組(現在、27ホールで営業)は入っています」(山崎滋支配人)
だが、これではない。同GCは高級リゾートで、ハウスのショップでは100万円前後もする有名ブランドのバッグが置かれているのだが、大会後、それが4個も売れたという。また、ヘリコプターでの来場者もいるという。
このゴルフ場での試合は高視聴率だったせいか、テレビ観戦したゴルファーたちから、「さくらホールはどこ?」とよく尋ねられるそうだ。
最終日、トップに並んでいた横峯さくらが、トリプルボギーを叩くというドラマが展開された17番ホールのことだが、プレーヤーの間では今や「さくらホール」と呼ばれているらしい。
入場者数は若干増だが、コースの認知度が一気に全国規模になったことに驚いているのが、5月にヴァーナルレディースが開催された福岡センチュリーGCだ。
今年で6回目なのだが、今年初めて全国ネットでテレビ中継された。しかも、宮里藍が圧勝の展開で13.7パーセント(ビデオリサーチ調べ、関東地区)の高視聴率を記録した。
「お陰さまで、全国から予約をいただくようになりました。北海道、青森からのお客さんもいらっしゃいます。また、藍ちゃんの地元・沖縄からはツアーのお客さんが増えました」(佐藤雅康副支配人)
同じく宮里が制したIDC大塚家具レディス開催の武蔵丘GC(埼玉県)は、10月の大会後は入場者数が大幅増。11月だけでも約200人、ちょうど1日分の増加となった。
また、大会では宮里の優勝とともに、プロ3戦目の諸見里しのぶが2位タイに食い込み、シード権をほぼ確実にするというドラマもあった。
ところで、取り上げたコースはいずれも周辺ゴルフ場よりも高額の料金設定。にもかかわらず、来場者が増えているのは、「やはり景気回復のお陰でしょう。それで本当にプレーしたいコースならば、多少値段が高くても関係ないようですよ」と、当事者であるゴルフ場関係者は語っていた。
つまり、ゴルファーにラウンドしてみたい気にさせるのが、今の女子ツアーにあるということなのだろう。
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