カシオワールドでのミシェル・ウィの公式プレーは、残念ながら2日間で終わってしまったが、それでもこの間、関係メディアやファンの間にたくさんの話題をもたらした。開催地・高知県には10億円規模の経済効果があったとも伝えられるが、恩恵を受けたのは開催地だけではなかった。
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ミシェル・ウィがプレーした予選ラウンドの2日間(11月24、25日)、国内のゴルフ界の話題は彼女が独占した感があった。
「ゴルフ好きが顔を合わせれば、彼女の話題でした。予選落ちする可能性があるから、木・金のうちに行かなくちゃ、なんて話し合っていましたが、予選ラウンドの混み具合を見ると、そう思ってでかけた人が多かったようですね」 と県内の某ゴルフ場関係者は話す。
さて、その彼女がもたらした効果だが、開催コースのKOCHI黒潮CCは、もともと入場者数の多い人気コースで、その後、入場者数が急増したということはないそうだ。ならば、ウィ効果も期間中のことだけ? というと、そうではなかった。
「お陰さまで韓国からの問い合わせは増えています。韓国のある新聞には『注文殺到』と紹介されましたが、そこまではいきませんけど……」と語るのは、本間ゴルフの宣伝担当・桑木野洋二氏だ。
ご存じのように、ウィはナイキと用具の総合契約を結んでいる。そのウィが、なぜ本間ゴルフに恩恵を……。実は、大会期間中に次のようなことがあった。
ウィは、火曜日の公式練習を韓国のキム・ジョンドク、Y・E・ヤンの両プロとラウンドした。その途中、同行した父親のウィ・ビョンウク氏がキム・ジョンドクの飛距離に感心した。
44歳という年齢、175センチ・65キロの小柄な体格にもかかわらずウィをアウトドライブしていたからだ。
そこでウィ氏がキムに尋ねると、契約メーカーである本間ゴルフの「アーマック」シャフトがロングドライブの理由と明かされた。
ならばと、ウィにキムのドライバーを試し打ちさせると、いい感触を得たため、すぐに本間ゴルフのツアーバスに連絡し、キムと同じシャフトへの交換をオーダーした。
ウィはハーフラウンド後に、さっそく練習場で新しいシャフトのドライバーを打ち込んだが、キムと同じSシャフトは柔らかすぎたため、Xシャフトに再交換。翌日のプロアマからそのシャフトでロングドライブを連発することになった。
そして、この経緯を会場に大挙押し寄せた韓国メディアが注目した。
というのも、韓国では同社のネームバリューは日本メーカーの中でも格段に高く、ウィとのコラボレーションは絶好のトピックスだったからだ。
また、ゴルフブームが続く韓国では、最近になって一般にもリシャフトが注目されるようになったという事情もあった。
こうしてウィが同社のシャフトを使用したことが韓国中に知れ渡り、今、同社には注文が続々と舞いこんでいるのだ。
さて、本間ゴルフにとっては話題性抜群の動きだが、未契約プロの使用は宣伝には使えない。メーカーとしては、何とも歯がゆいはずだ。同様のことが、今季、人気女子プロに急増したアイアンのリシャフト(スチールシャフト)でも起きている。
そのひとつ、ライフルを販売するプレシジョンジャパンのホームページでは、「ライフル90、日本女子オープンを制す」とのタイトルで、
「日本女子オープンでライフル使用選手が4日間首位を守り、通算5アンダーで2位に5打差をつけて見事国内メジャー優勝を飾りました。アメリカ参戦を視野に入れた彼女は……」といった内容のニュースリリースが掲載されている。
言うまでもなく、この選手とは宮里藍のこと。しかし、その事実を自らの宣伝・広報には使えないもどかしさがうかがえる。
もっとも、本間ゴルフは「アーマックは遠眼でも分るカラーリングなので、プロの用具に注目されるファンにはすぐに分ってもらえているようです」(前出・桑木野氏)と、プロユースの効果に確かな手ごたえを感じているようだ。
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