06年からレーザー距離測定器やGPS利用の距離測定システムの使用がローカルルールで認められることになった。とは言っても、一般ゴルファーがそうした計器を使うことはないだろう、と他人事のように思っていたら、すでに全国75コースに導入され、さらに月10カ所のペースで新規契約コースを増やしている距離測定器があった。
GPS利用の距離測定システムは、一般には乗用カートに搭載された運行管理システムのモニター画面で利用している。
しかし、そのシステムでは、ほとんどのコースが乗用カートでのフェアウェイ走行不可の日本では補助的なものだった。それぞれに微調整が必要だった。
その不便さを解消するものとして登場したのが、各自が携帯できるパーソナル・ナビだ。いまではさまざまな製品があるのだが、この一年で導入コースを急速に増やしたシステムがある。
株式会社ウォーカロングの「ウォーカロング」は、すでに全国75コースで使用され、現在も毎月10コースのペースで新規コースを増やし、2~3年後には500コースを視野に入れているという。
いつの間に……、という思いがするが、なぜこれほど?
その大きな理由が、同システムはゴルフ場側の初期費用はゼロ、経費いらずという点にあるようだ。実際の運用には、各端末にホール図をインストールし、ポイントとなる地点のデータ(正確な緯度・経度)入力するといったシステム構築を要するが、それは同社の負担。
また、端末もコース側へは無料で貸与され、ゴルファーの使用料(500円前後)の一部が手数料としてゴルフ場の収入となる。経費がかからないのだから、試しに導入してみようというゴルフ場が増えるのも道理だ。
そうしたゴルフ場のひとつ、1年半ほど前に、同システムのテスト段階から試験導入を始めたスプリングフィルズGC(茨城県)の広沢勉支配人は、 「プレーヤーごとに正確な残り距離が表示されますし、端末自体は軽く、操作も簡単ですから」 とこの長所を語る。
端末の画面には、ホールのレイアウト図に端末の現在位置がポイント表示され、そこから基本的にグリーン上の3地点(手前、センター、奥)を含む、全7地点ほどの残り距離が1ヤード刻みで表示される。そして、それらのデータは1秒ごとに更新される。
ただし、「システムは日々進化していますが、距離表示は2~3ヤードの誤差はあります」(ウォーカロング担当者)
使い慣れれば、プロユースにもかなう、有能なキャディ代りになりそうだが、導入間もないコースからは、「使い慣れるまでは、かえってスロープレーになるので、今のところ利用者は1日に5人程度です」という声も聞かれた。
本当に浸透するにはまだ時間がかかるのかも知れないが、複数の名門ゴルフ場で導入が検討されているという。早ければ来年春にも運用される見通しだ。
「今回のルール改正で使用が認められたように、残り距離の正確な情報が公平に得られるこうしたシステムは、ゴルファー共通のニーズだからでしょう」 と同社は、時代のトレンド性を強調する。
そして、同社が将来的に目指すビジネスモデルは、エンドユーザーが増えたところで、ゴルファーがそれぞれパーソナル端末を持てる事業展開を行い、そこでユーザー向けに希望するゴルフ場のデータを販売(ダウンロード)することだ。現在は、そのための環境作りをしている段階という。ゴルフ場の未来図は、大きく変わっていきそうな気配だ。
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