日本女子ツアーの前途が、宮里藍の両肩にずしりとのしかかってきた。人気絶頂の国内女子ツアーの2006年日程が発表された。ツアー競技は今季より3試合、4億3344万円増の36試合となり、賞金総額26億6460万円。賞金額では史上最高を記録。『商品価値』の高さをはっきりと示した。
新規トーナメントの一つ、フィランソロピー・LPGAプレーヤーズ選手権(7月20~23日、茨城・潮来CC:NPO法人スポーツフィランソロピー協会主催)は、ツアー最高の賞金総額1億3000万円を誇るなど、樋口久子LPGA会長、小林洋子副会長・TPD担当が「ありがたい」と、声を揃える願ってもないスケジュールだ。
だが、気になるのは米ツアーQTをトップでクリアし、来季はそちらを主戦場にする宮里の不在。画期的に増えたギャラリー数、テレビ視聴率、メディア露出度がどうなるのか。
それについて問われた樋口会長も 「もちろん宮里さんの存在はすごく大きい。出場するかしないかでギャラリー数、視聴率が違う。各スポンサーもみんな出場して欲しいとは思ってらっしゃるでしょうが、あとは残りの選手で頑張るしかない。今年もプレーオフや1打差で優勝が決まった試合が多かったし」 と言うしかないのが現状だ。
規定により、来季の宮里は最低7試合の国内戦出場を義務づけられている。これに違反した場合は罰金100万円。宮里はできる限りこの規定を守る意向でいるため、気になるのはどの試合に出場するかだ。日米の日程を合わせて考えてみた。
まず、最優先となるのが、メジャーの日程だ。幸いにしてクラフトナビスコ選手権(3月30~4月2日)の週に国内はオープンウィーク。
さらに、マクドナルド全米女子プロ(6月8~11日)全米女子オープン(6月29~7月2日)、全英女子オープン(8月3~6日)は、いずれも宮里がディフェンディング・チャンピオンとなる国内戦とはぶつかっていないため、この『裏』となる国内戦出場は考えられない。
所属先主催のサントリーレディスは、通常なら出場を最優先で考える試合だが、全米女子プロとぶつかるため、あきらめざるを得ないだろう。万一、メジャーを蹴って出場ということにでもなれば、逆に「ゴリ押しした」としてスポンサーの見識が疑われることになるため、それはないだろう。
基本的には、日本女子プロ選手権(9月7~10日)連覇を狙う日本女子オープン(9月28~10月1日)ツアー選手権(11月23~26日)の公式戦3試合と、米ツアーがオープンウィークとなる地元、沖縄の開幕戦ダイキンオーキッド、さらにディフェンディング・チャンピオンとなる大会に出場する方向で考えるのが自然だが、あまり無理をして倒れては元も子もないため、その辺りの調整がカギを握ることになる。
いずれにしてもすべては米ツアーでの活躍次第。日本より2週間早く開幕する米国で、なるべく早く結果が出せれば、シーズン全体が楽になる。
日本の試合に出場しなくても、宮里の活躍が日本ゴルフ界の起爆剤となることは間違いないだけに、協会やスポンサーが目先の利益にとらわれないことが大切だ。それに加えて、スーパースター不在の間に『留守を守る』ライバルたちの責任も重い。
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