正月気分がまだ抜け切らない中、早くも米PGAツアーの公式戦が始まった。5日から8日までのシーズン初戦、メルセデス選手権は、前年の優勝者だけが戦う試合で毎年注目を集めるのだが、今年はタイガー・ウッズとフィル・ミケルソンが欠場ということで、期待感が薄れてしまった。
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ネーションワイドで大活躍したゴア
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タイガーは、「家族や友人たちと過ごし、バッテリーを充電する時間が必要」と、今年最初の試合は1月末のビュイック招待からの予定という。
ある意味では、ビュイックと契約するウッズにとってはメルセデスをスキップするのも分からないでもないが、なにやらメルセデス選手権の格が1ランク下がってしまった気がしないではない。
つまり、トップグループと中堅グループの実力差が広がっているとされる中で、トップグループが出場しない試合と出場する試合の格差が広がっているのだ。
メジャー4試合に加えて、WGCの3試合、それにプレーヤーズ選手権、ツアー選手権、それにA・パーマーが主催するベイヒルと二クラスの主催するメモリアルあたりまでが真の1軍の試合で、後は2軍の試合のような印象が持たれ始めている。
そうした点では、本来の2軍ツアーであるネーションワイドは3軍ツアーということになってしまうのだが、PGAツアーのトップグループと中堅以下の実力差が開いている上にネーションワイドの実力がアップし、レギュラーツアーとネーションワイドツアーとの実力差は縮小しているという意見が多い。
昨年、ネーションワイドのプレーヤーオブザイヤーに輝いたジェイソン・ゴアの全米オープンなどでの活躍もあるが、賞金ランキングではゴアより上がいるし(スコット・ヘンド)、実際数字の上でも、ネーションワイドの実力アップは、疑う余地がない。
例えばドライバーの飛距離一つとっても、PGAツアーには年間平均で300ヤードを超えるロングヒッターが26名いるのに対して、ネーションワイドにはなんと43名もいるのだ。昨年末に日本にやってきたババ・ワトソンは、ネーションワイドきっての飛ばし屋だが、なんと年間平均で334ヤード。
全ツアーでも最高の飛ばし屋ということになる。フェアウェイキープ率、パーオン率にしても70パーセントを超えるプレーヤーの数はPGAツアーが、それぞれ19名と5名であるのに対して、ネーションワイドの方は、17名と12名。
ネーションワイドの方が年が若い分だけ、小技が全体的にはレベルが低いといえるかも知れないが、ショットに関してはPGAツアーに勝るとも劣らない数字を出している。
もちろんコースのセッティングはPGAツアーの方が難しいために、一概に数字だけで比較することは出来ないが、ネーションワイド全体の実力がアップし、レギュラーツアーに近づいていることは間違いないだろう。
ツアー間の実力差というのは、この時期にだからこそ問題になる。というのは、本格的にシーズンが始まるこの時期、ワールドゴルフランキングのポイントシステムの修正が話題に上るからだ。
ちなみにネーションワイドツアーの優勝者に与えられる最低のポイント数はアジアツアーと同じ3ポイントで、日本ツアーの優勝者には最低8ポイント、PGAツアー、欧州ツアーであれば12ポイントということになる。
これは出場のプレーヤーによっても若干変わってくるが、ネーションワイドの評価が上がれば、相対的に日本のツアーの評価が下がり、メジャーなどに日本のプレーヤーが出場できるチャンスが下がるということなのだ。そうした意味で、ツアー間の実力差の問題は、無視出来ないといえる。
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