昨年末の12月15日、ローンスターグループ(以下、LS)のパシフィックゴルフグループインターナショナルホールディングス株式会社(以下、PGGIH)が、東証1部に上場を果たした。
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現在97コースを運営している
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LSの売り出し株数は当初予定の29万株から35万株に増加、LSが手にした資金も約392億円に上った計算になる。
上場後の株価も順調に推移、初値は公募価格の11万2000株を2割以上も上回る14万2000円。12月26日には20万円を突破している。
上場と同時に公表された、平成17年12月期決算の業績予想では、営業収益は627億円で当期純利益は30億円。
PGGIHの平成17年末時点の運営コース数(運営受託コースを含む)は97コースだが、18H換算だと115.5コース。18H換算1コースあたりの売上高は5億4285万円、当期純益だと2597万円という計算になる。
1コースあたりの全国平均売上高が4億9900万円、当期損益が300万円の赤字(日本ゴルフ場経営総合研究所調べ、平成16年度統計)なので、十分全国平均を上回る水準を確保しているが、実質的にはこの数字以上の水準と言える。
というのも、PGGIHのコース数は、平成16年末の52コース(18H換算では64.5コース)から昨年1年間で大幅に増加、昨年の増加コース分は、売上高には通年では寄与していないからだ。
また、上場翌日の12月16日に開催された記者会見の席上、PGGIHは平成18年以降も「毎年8~10コースのペースで運営コース数を増やしていきたい」としている。
従って、平成18年12月期は、平成17年1年間に取得したコースの売上高が通年分計上されるだけでなく、新規取得コース分も上乗せされるため、大幅な増収増益が見込めることになる。
こういった将来性を反映したのか、株価水準を分析してみると、投資家が最も重要視するPER(株価収益率)、つまり1年間にその会社が稼ぎ出す当期純益の何倍の株価がついているかをみると、12月26日終値ベースで実に78.7倍。
東証全体の平均が大体20倍程度だから、市場の期待は相当なものであることがわかる。
12月16日の会見の席上でも、同社は「投資家が我々に最も期待するのはキャッシュフロー」であるとし、その期待に応えるための戦略をアピール。キャッシュフロー重視、つまりちゃんと現金が手元に残る利益を追求していく、というわけだ。
挙げられた展望は以下の通り。
「97コースを運営しているということは、97のレストランと、ビクトリアゴルフに勝る数のプロショップを保有しているも同然なので積極的にテコ入れを図る」 「未開拓の女性客の開拓は成長要因として重要」 「団塊世代の大量退職時代を睨んだ平日プログラムを推進していく」 「現在の我が社のシェアは4パーセント程度だが、2010年には運営コースを現在の倍にしたい」 「アジア全体で約5000あるゴルフ場のうち、半分は日本以外にある。日本国内の足下を固めたら、アジア諸国への展開も図りたい」
これらの一方、会員にとっては気になる発言もあった。
昨年まではコースを取得して設備を整えるだけで精一杯で、『中身』の工夫に手が回っていなかったので、「手つかずの年会費の引き上げ、滞納者に対する対応にも手を付ける」としている。
同時に「他のコースとの割引プレーなど、新しい会員権プログラムも考えている」と、上場会社としてのPGGIHの投資家は大いに喜びそうだが、コース自体へのロイヤリティが高い会員に受け入れられるかどうかは今後の課題だ。
会員の利益とどう折り合いを付けながら、利益を追求していくのかが成長のカギとなることは間違いないだろう。
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