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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 2/14号
2006/2/3更新
プリンスホテルへ吸収合併でコクドが解散
グループ再編後の西武系ゴルフ場に注目

 暮れも押し迫った昨年12月28日、西武鉄道、コクド、プリンスホテルの3社が、持ち株会社・西武ホールディングスの設立を核とする新体制下の業務組織と人事を発表、再編に向け動き出すことになった。

 再編のポイントは堤義明氏の実質的な持ち株比率引き下げと、西武グループの事業の再編の2つ。

 西武グループは、堤義明氏が発行済み株式の36パーセントを所有していたコクドが、西武鉄道やプリンスホテルなどのグループ企業を保有する、という構造だったが、堤氏の影響力を低下させるとともに、コクドの位置づけを、「西武グループ各社の親会社」から、「西武グループの持株会社の子会社」にする。

 その再編第一弾は、昨年11月のコクドの持株会社・NWコーポレーションの設立。これでコクドの株主はNWコーポレーションの株主になっている。

 その上でコクドの増資実施で堤氏の持株比率を引き下げ、2月1日付でコクドとプリンスを合併させるので、この段階でNWコーポレーションはプリンスの株主になる。

 次がグループ全体の持株会社・西武ホールディングスの設立。2月3日付で設立、NWコーポレーションが約15パーセント、米系ファンド・サーベラス、日興プリンシパルインベストメンツが約45パーセント、そして旧西武鉄道の株主などが約40パーセントを出資する。

 次にNWコーポレーションが持つプリンス株を西武ホールディングスに渡す。従来、西武鉄道本体でも経営していたホテルやレジャー施設の営業権をプリンスに移せば、持ち株会社・西武ホールディングスの下に、ホテル・レジャー事業を手がけるプリンスホテルと、本業の鉄道・沿線事業を手がける西武鉄道をぶら下がる形が完成する。

 ただ、今回の再編では、西武グループで手がけるゴルフ場事業がすべてプリンスホテルに集約されるわけではない。

 国内46コースを経営する西武グループには、現在国内33コースを経営するコクド、久慈CCなど7コースを経営する西武ゴルフ、近江観光(2コース)、西武建設、西武レクリエーション(各1コース)、それに阿蘇プリンスホテルゴルフ場を経営するプリンスホテル、そして川奈ホテルと、合計7つのゴルフ場経営会社がある。

 このうち、プリンスホテルに集約されるのは、コクドの33コースとプリンスホテル経営の阿蘇プリンス、川奈の合計35コースのみ。

 残る西武ゴルフ、近江観光、西武建設、西武レクリエーションについては、西武鉄道の子会社のまま据え置き、プリンスホテル傘下には入らず、鉄道・沿線事業、そしてグループ全体とのシナジー効果を検証するという。

 西武グループは昨年1月、経営改革委員会から、「国内1600カ所あるホテル、リゾート施設のうち25パーセントについて、撤退や売却を検討すべき」であるとの提言がなされている。

 しかし、「経営改革委員会は提言をする組織であって、決めるのは我々。現時点では1600カ所のうちどこの資産を売却するのかはもちろん、25パーセントという数字も、まして実際に売却を実施するかどうかも検討段階」(西武鉄道広報)だという。

 一昨年の堤氏辞任以来、西武グループが保有するゴルフ場が売りに出されるのではないかとの期待が高まり、ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーによる買収提案が報じられたが、新生西武グループへの出資者の座はサーベラスが掴んだ。

 いまだにコクド株の所有権を主張する堤義明氏の実弟との訴訟は決着を見ていないが、訴訟の決着までには相当の時間を要することは間違いなく、今回の再編は半ば既成事実化するだろう。

 ただ、今後グループのゴルフ場が売りに出される可能性はまだ残っているとする見方もある。再編が一段落する今年3月以降、水面下の争奪戦の火ぶたが切って落とされることになるかも知れない。

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