今年に入って、新しいドライバーが続々と発売される中、最後の高反発を選ぶか、この際、ルール適合モデルにチェンジするべきか、ユーザーの悩みは尽きない。戸惑いを見せているのはゴルフショップも同じ。SLEルール問題を巡って、ゴルフ業界の中には、まだまだ温度差があるようだ。
SLEルール改正を前に、明らかなクラブの買い控えが見られたといわれる昨年。今年は、その分まで取り返そうと、各クラブメーカーとも並々ならぬ意欲で新製品を開発し、春商戦の火蓋が例年より早く切って落とされた。しかし、一部の店頭では、買い控えならぬ、売り控えともいえる現象も起きている。
「競技に出る人以外はまだまだ高反発が使えますから、無理に買い換える必要はないし、その旨はお客様にもはっきりとお伝えします」(松坂屋名古屋店ゴルフ売場/竹下久氏)と言い切る販売店もある。
また、別の百貨店の担当者も、
「いままでの高反発ベースの技術を急に超えられるものなのか。今年の秋くらいに出る次期モデルまで待つ方がいいのでは」と疑問を投げかける。
ちなみに高反発とルール適合が選べるゼクシオで比較した場合、両店ともに、明らかに高反発モデルの方が売れているということだ。
また、東京・御徒町のゴルフショップ街では、
「いまのところ7対3くらいの割合で高反発が売れています。両方あるなら高反発というお客さんが多いですね。店舗によって多少違いますが、高反発を選べるゼクシオが強いのは自然の成り行きでしょう」(ことぶきゴルフアメ横北口店/増田博氏)という声が聞かれた。
反対に、ルール適合ドライバーが売れているショップも多い。ツアーステージV-iQがゼクシオを抑えてトップに立ったのはビクトリア、ヒマラヤなど大手量販店や小田急、三越百貨店など。
ゼクシオより10日ほど早く発売されたのが効いているのも確かだが、若年層を中心とする顧客層とV-iQの想定ユーザーがマッチしているのが大きな要因だろう。逆に顧客の年齢層が比較的高い百貨店などではゼクシオが強みを見せている。
ゼクシオを高反発とルール適合の二本立てとしたSRIスポーツの戦略は、立ち上がりを見る限り当たっているといっていい。1月末までの販売内訳は、同社が当初計画した通りで、両モデルがほぼ5対5の割合で拮抗している。
「大雪がなければもっと売れていたのではないかと思われます。高反発とルール適合のどちらが売れているかは、お店によってまちまちですが、試打会でも真っ先に高反発を打たれる方がけっこういらっしゃいますし、いまだに高反発への関心は高いと見ています」(SRIスポーツ経営企画部課長/山田照郷氏)
同社では、最終的に高反発3割対ルール適合7割程度に落ち着くと予想しているが、
「問題はどこで流れが変わるか、そのタイミングだけはまったく読めない」(山田氏)という。
一方、打倒ゼクシオの目標を掲げるブリヂストンスポーツも強気の姿勢。1月12日に発売されたV-iQは、出荷ベースではあるが、3月発売の先代V-iQの1・5倍(ウッド合計)という数字を残しており、1月という時期的なハンディも勘案すれば、かなりの好スタートといえる。
「大雪に水を差された格好となりましたが、日米の女子ツアーも始まる2月、3月が本当の勝負と考えています。V-iQは飛ぶという生の声も相当集まってきているので、それをうまく活用して、適合ドライバーでも飛ぶという事実をお客様に伝えていきたい」(ブリヂストンスポーツ広報室長/嶋崎平人氏)
というとおり、V-iQがゼクシオ越えを成し遂げるためには、ユーザーや販売店に根強く残っているルール適合=飛ばないというイメージを払拭すること。そして、同じルール適合同士の土俵に早く持ち込みたいところだが、「夏前までは高反発で行ける」と考えるショップ関係者も多い。
また今後、マックテックNVG2やミズノJPXなど実績のあるドライバーの登場が、高反発とルール適合ドライバーのパワーバランスにどう影響するか、予断を許さない状況が続く。
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