米ツアー開幕から7週間。今週行われるWGCアクセンチュア・マッチプレー選手権は、7週後に控えたマスターズ前のピークとなる大会だ。欧米両ツアーで2戦2勝し、いずれもプレーオフ勝ちしたタイガー・ウッズの真価が問われる試合になりそうだ。
96年9月にプロ入りする直前、全米アマで三連覇を果たしたように、タイガーはマッチプレーにめっぽう強い。
99年にWGCシリーズの1戦として始まったアクセンチュアでも、2000年大会決勝でダレン・クラークに敗れたが、03、04年と連覇して圧倒的な強さを見せている。
一方、欧州ツアーの雄、アーニー・エルスも1964年から続く同ツアーの伝統の1戦、HSBC世界マッチプレー選手権(現在の名)に6勝(94~96年、02~03年、05年)しており、マッチプレーは得意中の得意。
だが、開催コースのラコスタリゾート&スパとは相性が悪いのか、アクセンチュアでは、1度だけ豪州開催だった01年に準決勝で敗退。3位決定戦でも谷口徹に敗れて4位となったが、それ以外は2回戦どまりで、ここ2年間は出場もしていない。
だが、昨年後半の怪我によるブランクを取り戻そうと、今年は参戦予定。マスターズをにらみ、打倒タイガーを隠そうともしない。
ここでマッチプレーについて少し触れておこう。米ツアーでは年に一度、アクセンチュアが行われており、欧州でも前出のHSBCが開催されている。
しかし日本では、かつて行われていた日本プロゴルフマッチプレー選手権が休眠状態のため、ファンにはあまり馴染みがない。
ゴルフが競技として広がっていく中で、スコットランドで盛んだったクラブ対抗試合はいずれもマッチプレーだった。しかし1860年、プレストウィックを舞台に行われた第1回全英オープンは、当時としては異例のストロークプレーで開催され、以来、今日に至っている。
また、全米オープンも第1回とされる1895年からストロークプレーで行われている。
その後、90年代に入ってアーノルド・パーマーとIMGのマーク・マコーマック(故人)が組んでテレビ中継を広め、ゴルフ人気は急カーブを描いて上昇したが、これと反比例して試合がいつ終わるかわからず、人気選手が姿を消してしまう可能性もあるマッチプレーは、急速にプロツアーの主流をストロークプレーに譲る形になった。
それでも、アマチュアの大きな試合は、英米男女いずれも最後は64人のマッチプレー方式だ。日本でも数年前から男女日本アマはこれにならっている。
だが青木功の最強時代を経て、尾崎将司VS高橋勝成の死闘など、数々の名勝負を生んだ日本プロマッチプレーは、残念ながら静かに再開の時を待っている。
99年、日本プロゴルフ協会(PGA)から日本ゴルフツアー機構(JGTO)が分離、独立。同大会は、数少ないPGA主催競技としてその後も4年間行われたが、結果的にこれがスポンサー撤退に拍車をかけ、03年を最後に中止に追いやられた。
今年、PGA会長に就任した松井功氏が「スポンサーを探してはいるのですが」と、再開の可能性を示唆しているように、消えたわけではないが、メドは立っていない。
だが、見る者にとってマッチプレーほど勝負の「あや」を伝えてくれるゲーム形式もない。技だけではなく勝負どころでの選手の攻め方、心理状態がみえるだけにゴルフの醍醐味が随所に見られる。
日本でもプロマッチプレーの復活を望むゴルフファンは多いのだが、再開されるまでは外国選手のプレーを楽しむしかないようだ。
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