昨年10月31日付で、会員による自主再建型の会社更生計画案で認可決定を受けた木更津ゴルフクラブ(千葉県)が、継続会員を対象に実施した補充募集に、定員の3倍もの応募があり、その潜在的な人気の高さを証明した。
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更生計画は目下順調
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日本経済新聞の系列コースとして誕生した同GCは、昨年まで施設保有会社である内房産業と経営会社のKGCが預託金償還に対する責任を巡って対立していた。
互いに互いの会社更生を申立て合う異例の事態となってしまった経緯については本誌でも報じてきた。
しかもゴールドマン・サックスをスポンサーとする管財人案と、会員による中間法人がスポンサーとなる自主再建型の会員案との2つの計画案が提出される、これまた異例の事態に発展していた。しかし、最終的には会員案が圧倒的多数で可決されるという結果に終わった。
今回の募集は更生計画案にもともと盛り込まれていたもので、弁済資金の調達の一環。更生計画では、KGCと内房産業を100パーセント減資させた上で合併させ、そこへ会員による中間法人が1000万円を出資。
債権者への弁済条件は会員、それ以外を問わず、また会員も継続・退会を問わず弁済条件は90パーセントカット、残りはKGC・内房産業の合併から2カ月以内に一括払いすることに。
継続会員は中間法人への入会金(正会員40万円、平日20万円)を拠出するが、これは弁済額(預託金額面の1割)との相殺があり、追加負担が必要な会員もいれば、不要な会員もいる。
基本的に会員が支払った追加負担金と、今回の補充募集で集めた資金とが、一括弁済の原資となる。既に新会員からの払い込みは済んでおり、数日中に債権者への払い込みもなされる見込みで、2月28日には晴れて更生計画は終結となる予定だ。
今回募集したのは、正会員218名、平日11名。もともと正会員で1400名、平日で270名ほどいた会員数は、更生手続きを経て正会員で約260名、平日で約80名弱が退会したが、会員数を多少引き下げるため、募集口数は退会者数よりも少なめ。
最終的に会員数は正会員1359名、平日で204名で、今後追加募集を実施する予定はないという。
応募出来るのは継続会員のみとしたのは、継続会員に二口以上持たせるという趣旨ではなく、継続会員が新たな会員を紹介し、今回だけは入会審査を簡便化する代わりに、会員自身が会員としてふさわしい人物の入会を後押しするという位置づけだ。
そうなると残る問題は地主との交渉だろう。更生手続きに入ってからは、内房産業が管財人に対して不信感を募らせた結果、賃料などの具体的条件どころか、賃貸借契約が締結出来るのかどうかの話し合いすら出来ない状況に陥ってしまった。
裁判所もスポンサー決定の過程で地主との交渉については度外視する方針をとった。
逆に言えば、地主との交渉リスクを覚悟して入札せよという意味にも受け取れる。更生手続きが終結すれば、管財人は名実ともに木更津GCとは一切無関係になり、中間法人の100パーセント子会社となった経営会社自身が地主との交渉に臨むことになる。
募集金額は継続会員の中間法人への入会条件の2倍の額で、正会員が80万円、平日が40万円。それでも応募が殺到したのは、名義変更停止中の同GCの会員権は、「念書売買で130万円の買い希望が来ている」(会員権業者)と言われる潜在的な人気ゆえだろう。
会員による自主再建コースの人気の高さは鳩山CC(埼玉県)でも実証済みだが、今後新規の募集が予定されていないだけに、全ての問題が解決し、名義変更再開後、相場がどうなるかも注目される。
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