暖かさが戻ってくるとともに、練習場にもゴルファーが戻りつつある。人気練習場では昨年来、休日の1時間待ち、2時間待ちも珍しくない。さらに今年は、ゴルフ界全体に明るい見通しが持たれていることから、練習場にも強気の読みを期待したいところだが……、聞けばどうもそう簡単ではないようだ。
昨春あたりから、練習場は全般に入場者数を伸ばしている。「良いところ悪いところがあって、回復は一様ではありませんが、全般には昨年からいい感触を得ています。特に大都市近郊の練習場では賑わいが戻っています」(全日本ゴルフ練習場連盟・三宅伸宜事務局長)
東京近郊の24時間営業の練習場として昔から人気のある田無ファミリーランド「タイムジップス24」では、「寒波と先週まではトリノオリンピックの影響で、夜は寂しい日が続きました。それでも日中、気温が上がると予想以上に混雑していますから、ニーズの高まりは実感しています」と語る。
ここ数年東京近郊から大型練習場が次々と姿を消した結果、今では遠く千葉からの来場者も少なくないという。また、ネットでのPRが功を奏し、土日には初利用客が40~50人もいるそうだ。
無料レッスンや料金時間制(球数無制限)など、とにかく練習本位のシステムなので、上達を目指す若い人には魅力なのだろう。
大阪のゴルフスミノエでも来場者の伸びについては、「一昨年の秋から対前年度比プラスになっています。ただ昨年12月からは寒波でやられました」(池田広信支配人)と、厳冬期を除けば確かな回復を感じている。
その賑わいをもたらしているのが、従来よりも若いゴルファー層だ。タイムジップス24では、来場者の中心はかつての40~50代中心から30代(次に50代、20代と続く)になったという。「それと、女性客も戻りつつありますね」
休日には90分待ちになることもあるという横浜の東急嶮山スポーツガーデンでは、
「先に女性客が増え、次にカップル客が増えてきました。女性が男性を誘ってきたんでしょうね。また、うちはジュニア教室を設けていますが、そこは募集するとすぐにいっぱいになります」
とのことだ。こうした傾向はどこも同じようで、ジュニア、若者の増加は、将来につながる可能性がある。
しかし、それゆえに不安との声も多い。「確かにウチも一昨年に底を打った感じで、最近は若い人の姿が目立つようになりました。しかし、目先の入場者の増減で一喜一憂してもしょうがないでしょう」というのは東京近郊の某大型練習場の支配人だ。
というのは、今は藍ちゃん人気やゴルフ場料金の低価格化などから注目されているが、若者の興味は移り気。プレー料金には特に敏感という。「他に安くて楽しいことがあれば、すぐに離れていくはず」と、まったく安心していない。
そして、ゴルフに関心を持たれている今こそ、「ゴルフはやればやるほど面白い」とか、「一生楽しめるスポーツ」といった、ゴルフの奥の深さを伝える努力をしなければ継続的な発展はないと言うのだ。
同様の不安はどこも感じていた。「入場者が増えたからといって、例えば、いまゴルフ場が値上げをしたらどんな反応が起こるでしょうか……」(前出・池田支配人)と、現在の回復傾向も決して底堅いものとはとらえていない。
それゆえ「新しい顧客層が練習場にどんなことを求めているのか、そのニーズをきちんと見極めなければならないと思っています」(東急嶮山SG)と慎重な構えを見せている暖かさが戻っても浮かれていられないというのが、ゴルフ練習場の現状のようだ。
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