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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 4/4号
2006/3/23更新
アイデアは米国人、仕上げは日本人がお得意
米国で腕を振るクラブ開発マネージャーたち

 キャロウェイ、テーラーメイドの2大ブランドをはじめ、グローバルビジネスを展開する米国ゴルフ用品メーカーにとって、日本人クラブ開発者がなくてはならない存在となっている。

 USGAがR&Aに先んじて高反発クラブを規制して以来、米国のメーカーは、ルール適合の米国内モデルとは別に、主に日本を中心としたアジア市場用の高反発モデルを作り分けるようになった。また、最近では、アイアンやウェッジでも、日本仕様をうたうモデルが出てきた。

 米国のメーカーにとって、日本は本国に次ぐ2番目のマーケット。各社は「ジャパンバージョン」の開発に力を注ぐ。そのキーパーソンとして日本人スタッフが活躍の場を広げている。

 ダイワ精工の米国勤務、タイトリストを経て、現在クリーブランドゴルフ本社でプロダクトマネージャーを務める出蔵正一氏は、発想の異なるアメリカ人と日本人が一緒に仕事をすることで、より商品価値の高いクラブづくりが可能になると話す。

「大胆な発想でイニシアティブをとるのはアメリカ人です。しかし製品の完成度を高めていくのは日本人の方が得意です」

 アメリカ人は製品のアピールがあまり上手ではないと出蔵氏は分析する。

「すごいことやっているのに生かしきれていない。打てば良いクラブでも、デザインが10年前と変わらないのでは良さも伝わりません」

 クリーブランドのCG11は、ミルド加工で仕上げられた精度の高さを売り物にしているウェッジだが、出蔵氏が手がけたジャパンバージョンのCG11ミルドは、キャビティ部までミルド加工を強調したデザインになっている。

 また、ヘッドに使われているオリジナル素材の振動吸収効果をさらにアピールするために、キャビティ部に振動吸収ジェルが装着されている。

「お店で打ち比べる3本に入れてもらえるかどうかが勝負。機能が分かりやすければお店の方にも長く説明してもらえます」

 出蔵氏がデザインにこだわる大きな理由はここにある。

 商社マンからテーラーメイドへ転身した経験を持つ山脇康一氏は、本社でグローバルプロダクトマーケティング担当副社長の肩書きで、企画・開発から品質管理まで部署を横断してクラブ開発に関わっている。

「最初アメリカに行ったときは、どう考えても日本向けに同じヘッドは使えないなと思いました。とくに仕上げなど、日本の品質基準を満たしていませんでした。でも、それは本来アメリカ市場でもやるべきこと。問題が出たら変更すればいいじゃないかという大雑把な現地スタッフを納得させるのが最初の大仕事でした」

 幸いにも、レスキューや300シリーズなど、日本主導で開発した製品がヒットしたことで、仕事はやりやすくなった。

「いまは日本の市場が大事だと分かっているから、意見を聞いてくれます。日本向け製品の品質基準を高く設定したことで、すべての製品の品質が上がりました」(大脇氏)

 キャロウェイは2002年以来、日本から本社へスタッフを派遣している。現在、出向しているのは2年目の池ノ谷正巳氏だ。

 クラフトマン出身の厳しい目は、ジャパンバージョン以外の製品開発にも欠かせない力となっている。ヘッドやシャフトなど日本のパーツメーカーとのコミュニケーションも大切な役目で、アメリカを拠点にアジアや日本を飛び回る毎日だ。

「日本市場の様子をダイレクトに伝えられ、新製品投入のタイミングや品質レベルを調整することができる。アメリカから見ても日本のマーケットに期待しているから必要な人材です」(キャロウェイゴルフ広報マネージャー/松尾俊介氏)

「日本人のモノ作り」を取り入れはじめた米国メーカーは日本にとってますます怖い存在だ。

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