昨年12月5日に決着がつくはずだった「2005年ジャパンゴルフツアーファイナルQT」が、3月23日にようやく終わり、06年度の日本男子ツアーの出場順位が確定した。それにしても3カ月半にも及ぶ異常な中断に参加選手の誰もがうんざりといった表情で「もうQTには戻りたくありません」とシード獲得、あるいは復帰への意欲を燃やしていた。
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アジアツアーのシードを持っている余裕か
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シード権を持たない選手のトーナメント出場順位は、サードQTを通過した選手と、シード権を失った選手、合わせて210人前後が参加するファイナルQTの6ラウンドの成績で決まる。
そのファイナルは、2コースを使い、それぞれ交互に2ラウンドずつ4ラウンドを消化した段階で90位タイまでの選手が決勝に進み、残り2ラウンドを戦うことになっている。
ところが、昨年11月30日から熊本のくまもと中央CCとグランドチャンピオンGCの2コースで行われた05年のQTファイナルは、本誌でも度々報じてきたように、降雪のため大混乱。4日間で4ラウンドの予選を終えた組(Aグループ)に分かれてしまったのだ。
一時は決勝の第5、第6ラウンドは行わず、終了できなかったグループの第4ラウンドだけを行い順位付けをすると発表されたが、すぐにそれは覆り、昨年末になって決勝の2ラウンドも行うと決定。
しかしその段階では日程が決まらず、未消化の第4ラウンドを3月19日に、決勝の2ラウンドは3月22日と23日に行うと発表されたのは、年が明けた1月17日になってから。
決勝の2日間は同じ条件の戦いになるものの、懸念されたのは、同じコースを使用するにしても、仕切り直しの第4ラウンドは、12月上旬と3月中旬とではコースコンディションがかなり異なるのではないか、ということ。もちろん天候の違いもある。
しかも試合途中であるため、事前にコース状態をチェックする練習ラウンドも禁止となるため、Aグループに入った選手たちの不安は募ったようだ。
実際、3月18日にグランドチャンピオンGCで行われたAグループの第4ラウンドは強風に見舞われスコアを崩す選手が続出。今回は「異常事態」ということで100位タイ以内に拡大された決勝進出者112人の内訳は、Bグループが63人に対してAグループは49人と苦戦を強いられた形になった。
長丁場を乗り切ってトップに立ったのは、フィリピンのベテラン、フランキー・ミノザ。たまたまBグループだったラッキーもあったが、Aグループから2位となった水巻善典に5打差の快進撃は、「20位ぐらいに入れればと思って自分のプレーしていただけ」という無欲の結果だ。
QTから試合に出られる人数は、試合ごとに参加定員が異なり、またシード選手が欠場する人数により変化するため、具体的に何人とは明言できないが、昨年実績では、春先の開催順で開幕戦の東建ホームメイトが29位、つるやオープンが32位、中日クラウンズが6位、マンシングウェアが44位、三菱ダイヤモンドが38位までとなっている。
つまり上位に入ってもご褒美は中日クラウンズだけということになるが、アジアツアーのシード権も持つミノザは、「春先はアジア優先で、日本はマンシングウェアから」というから何とももったいない。
2位になった水巻は、「何とかフランキーを抜こうとしていたんだけど、最低でも中日クラウンズに出られる順位で終わらせようという気持ちで戦っていた。目標は優勝。それも1回だけではダメですね」
とツアーに再挑戦する意欲を語った。
昨シーズンから、「賞金ランク25位以内」のカテゴリーでツアーに参加できるのが1シーズンのみとなったため、今回のQTには、デビッド・イシイ、尾崎健夫、芹澤信雄、高橋勝成、東聡、湯原信光、ブライアン・ワッツなどツアーで複数回優勝経験がある『大物』も参加。
東のように22位でコンスタントに試合に出られる位置で終えた選手もいる一方、芹澤のように54位と微妙な位置となった選手もいる。
ホールアウト後、芹澤は「人生終わった感じ」と肩を落とし、尾崎は「試合に出られないなら、米シニアの可能性もある」と語った。これら特別シードを持った選手が出場権を失ったため、その分QTから出られる枠が広がり、今季は更なる下克上が期待できそうだ。
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