> 雑誌・出版情報 > BACK 9 WEB
 

週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 4/18号
2006/4/5更新
不慣れな新人たちを先輩プロがサポート
米LPGAの「ビッグシスター」は心強い味方

 卒業、入学、入社シーズンを迎え、新しい環境に不安を感じている人は少なくないだろう。プロの世界でも事情は同じ。いつの時代も新人は右も左もわからず苦労するものだ。そんなルーキーたちの不安を解消するために、米女子プロツアーには「ビッグシスター」という制度がある。

 このビッグシスター制度とは一言で言うと、先輩プロがピカピカの新人プロにマンツーマンで付き、『お姉さん役』としてサポートするというシステムだ。誰が誰のビッグシスターになるかは LPGAが熟考してマッチングを行い、シーズンが開幕する前に発表される。

 たとえば、昨年ルーキーイヤーに2勝を挙げ、賞金ランク2位に躍進したポーラ・クリーマー(米)の場合、彼女についたビッグシスターは、カナダ出身のベテランプロ、ローリ ー・ケーンだった。

「わからないことはすべてローリーに相談してきました。彼女がいたからこそ、ルーキーの年から活躍できたんだと思います。一緒に練習ラウンドもしたし、ローリーのお陰で、ツアーでもいい友達がたくさんできました」と、『お姉さん』の存在がいかに心強かったかを語っている。

 クリーマーのようにアマチュア時代からプロの大会で活躍していた選手でさえ、新しい環境に馴染むには時間がかかるもの。

 もしスタート時点でつまずいてしまったら、自分のペースを掴むのは難しい。その点クリーマーは、良きビッグシスターに恵まれたことですんなりツアーに溶け込め、予想以上の好成績につながったということらしい。

 そこで気になるのが、今季米女子プロツアーに本格参戦を果たしている宮里藍。だが彼女のビッグシスターに選ばれたのは意外な人物だった。ジーン・バーソロミュー(米)といってもすぐ顔が思い浮かぶ人は余程のゴルフ通かも。

 しかし実は彼女、90年代の中頃に、一時日本ツアーに参戦しており、片言だが日本語を喋ることができる。飛ばし屋としても有名で、99年からアメリカで6年連続でシードを守っている中堅選手である。

 LPGAのメディア担当、貝原輝美氏はこう説明する。

「ジーン(バーソロミュー)は忘れかけている日本語を覚え直したい、という意向があったようで、1日も早く英語を覚えたいという宮里選手にとってはうってつけの人物だったのです」

 ちなみに同じくルーキーの諸見里しのぶのビッグシスターは東尾理子。

「(LPGAから)しのぶちゃんと藍ちゃん、両方のビッグシスターになって下さい、と頼まれたんですが、2人はちょっと無理じゃないか、っていうことで、しのぶちゃんひとりになりました」(東尾)

 開幕戦から2人は練習ラウンドを一緒に行い、東尾は諸見里の一挙手一投足をまるで本物の姉のような心境で「ハラハラ、どきどきしながら」見守っているのだとか。

 ところで「早く一緒にご飯を食べに行ったり、練習ラウンドを一緒にできればいい」と、大いに乗り気なバーソロミューに対し、宮里にはさまざまな予定があり、ビッグシスターとの交流は十分にできていない。

 行く先々で大勢のメディアに囲まれ、ツアーでは特別な存在と見られがちな宮里だからこそ、ビッグシスターを糸口に選手たちに溶け込む姿勢を見せるべき、という考え方もある。

 いまのところ思うような結果が出せていない彼女にとって、利用できるものは積極的に利用したのはやまやまだろうが……。

 ビッグシスターに頼るにせよ頼らないにせよ、ツアーで活躍するには、新しい環境に一刻も早く馴染む必要がある。順応性がある宮里のことだから馴染んでいないわけではないだろうが、心を開いて付き合える仲間ができたときこそ、再び笑顔が戻るのではないだろうか。

バックナンバー

最新号はこちら

週刊ゴルフダイジェスト最新号

アクセスランキング

  • 月刊GD
  • チョイス
  • みんなのゴルフダイジェスト

ゴルフ会員権情報
ゴルフダイジェストの会員権情報です