賞金総額900万ドル(11億円)、優勝賞金200万ドル(2億4000万円)のビッグトーナメントが現れた。世界中のツアー競技のいずれをも凌ぐこのイベント「ビッグステイクス・マッチプレー・ゴルフ」が5月に米国で開催される。
会場となるのはアメリカンドリームの聖地、ラスベガス。その舞台にふさわしく、2人1組の参加チームで10万ドル(約1200万円)のエントリーフィを支払い、この総額を賞金の基本にして奪い合う、まさにギャンブルが繰り広げられる。
この大会ができたきっかけは、元NFLクォーターバックのスティーブ・バートコウスキ氏と、その友人で弁護士のジム・トーマス氏がPGAツアーを観戦していたときの出来事だ。
2メートル弱のパットをはずしたプロを見たトーマス氏が
「あれはプレッシャーじゃない。彼が賞金を出しているわけじゃないだろ。プレッシャーというのは、100ドルのナッソーに勝つためにパットを沈めなければならないときのことだよ」
と言ったことから発展し、こんなどでかいトーナメントができてしまった。
第2回大会となる今年のメイン会場は、パイユート・ゴルフリゾート。奇才、ピート・ダイ設計の舞台で、2人1組のフォアボールマッチプレー。
出場資格はPGA、ネーションワイド、欧州、チャンピオンズのそれぞれのツアーでシード権を持っていない21歳以上(2006年5月22日現在)の者。つまり、日本ツアーからならシード選手でも出場できるというわけだ。
本戦は128組での戦いを予定しているが、自分の懐を痛めるのはもちろんだが、スポンサーを探すにしても10万ドルは大金とあって、3月に行われた予選からなら3万ドルで参戦できる仕組みになっている。
大会の性質上、有名選手が参加する可能性は低いが、昨年はジョニー・ミラーの息子やレイモンド・フロイドの息子らが出場しており、他にもさまざまな元スポーツ選手がプレーしている。
さらに元NBAのスーパースター、マイケル・ジョーダンやNFL選手などがスポンサーに名前を連ねている。
特にNFLアトランタ・ファルコンズのタックル、バリー・ストークスは、昨年の優勝者のひとり、デビッド・ピン選手のスポンサーとして勝利の美酒を味わうなど、この大会の注目度は極めて高い。
今年、日本でもこの大会名が知られるようになったきっかけは、米国出身で、現在日本でレッスンプロをしながら英会話を教えているジョン・パーカー氏が日本のシード選手も出場できることを知って「ぜひ紹介したいと思って」代理人を買って出たからだ。
しかし開催が5月20~28日と日本ツアー2試合にぶつかることやエントリーフィの高さもあって、なかなか名乗りを上げるものが出てこない。
パーカー氏と知人を通じて縁のあった中村龍明プロが興味を示したものの「パートナーが見つからなくて」(パーカー氏)断念した経緯がある。
だが、02年のサン・クロレラクラシックで優勝した実績もあるクリスチャン・ペーニャ(米)が「参戦すると聞いています」(同)との情報もある。
ちなみに昨年優勝したピン選手は、ミニツアーを舞台に戦う26歳の無名プロ。「ここで勝つことは宝くじに当たるようなものかもしれない。でも違うのは、自分で賞金を勝ち取ったことだ」と、そのエキサイトぶりについて語っている。
さらに2位だったリック・ハートマン選手は「これは賞金がすべての大会だよ」と、本音を洩らしている。
エントリーフィーさえ支払うことができれば経験できるとてつもないプレッシャー。この魅力も捨てがたいようだ。
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