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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 5/2号
2006/4/19更新
旬の選手をレギュラーツアーに引き上げる
3日間競技が増えたチャレンジツアーの役割
 東建ホームメイトカップでようやく開幕した国内男子ツアーだが、一足先に始まった下部組織のチャレンジツアーは、意外なほど、活況を呈していた。初戦のPRGRカップは例年と違う3日間競技で、参加したプロたちの層も厚かった。

 今年のチャレンジツアーの年間試合数は、過去最高の15試合。さらに、間もなく詳細が発表される予定の試合が1つあり、合計16試合でシーズンに突入した。

 PGA(日本ゴルフ協会)がツアーを取り仕切っていた1985年に「グローイングツアー」の名で始まった同ツアーは、今年22年目のシーズンを迎えるが、これまでの最多は97年の14試合。今年はこれを超える数になる。

 また、2日間36ホールの試合が中心だったが、04年、05年のカニトップ杯で3日間54ホールのプレーが行われ、今年は開幕戦のPRGRカップ、カニトップ杯チャレンジ2試合の計3試合が54ホールになった。それだけに実力を問われる大会が増えつつある。

 このあたりの経緯を、現在、ツアーを運営するJGTO(日本ゴルフツアー機構)の渡辺章太郎競技運営ディレクターはこう説明する。

「当初から、年間20試合くらいにしたい、という話が出ていました。今年は試合数、賞金総額(1億8000万円)ともに過去最高ですが、欲を言えば、早く年間20試合にして、全試合3日間競技というのが理想です」

 この裏には、レギュラーツアーへのステップアップを図るための選手育成という意図がある。

「チャレンジツアーは選手をレギュラーツアーへ送り出す、というのが趣旨のツアーです。だから、レギュラーと同じように少なくとも予選ラウンドが2日間あれば、1打の重みを感じながら、試合を捨てることなくプレーするようになる。どうしても予選が1日だと、あきらめムードになりやすい」(渡辺氏)

 もちろん選手たちも同様に、3日間大会を歓迎している。

「ツアーに出られる人間を選出するトーナメントなんだから、なるべくレギュラーツアーに近い形のほうがいい。本当は4日間やれば、ペース配分なども身につくでしょう」と、東聡も口にする。

 95年には尾崎将司に続く賞金ランク2位の経験を持ちながら、ここ4年間、賞金シードを失っている東は、PRGRカップ初日に80を叩きながらも、2日目69で予選を突破。3日間大会だからこそ実力を発揮できたいい例だろう。

 選手たちの反応は、ほとんどが3日間を歓迎しているし、スポンサー側も、ツアーの層の広がりを支援している。

 開幕戦を主催する横浜ゴムのゴルフ部門、PRGR関係者はこう語る。

「うちは物を作って売る会社ですが、使ってくれる人が増えていかなくてはならない、という発想から、底辺から底上げしようと考え、12年前からSOT(Star of tomorrow)というミニツアーを実施してきました。試合に出られないプロやアマチュアに戦う場を与えられれば、と。
その後、ステップアップを考えて96年からグローイング(現チャレンジ)ツアーをやらせて頂いているんです。
SOTからチャレンジ、そしてレギュラーツアーとステップアップするサクセスストーリーを応援したい」

 実際、これを絵に描いたようなドラマが、PRGRカップでは起きている。

 アクシデントで肋骨にヒビが入り、3月のQTに失敗した重原啓利は、昨年のSOTツアーで優勝して、大会出場権を獲得していた。このチャンスを生かして、見事優勝。

 チャレンジツアーの優勝者にはレギュラーツアー1試合(前半7試合はツアー選手権、その後は大会直後の試合を予定)に出場できるという新しい規定を生かして、レギュラーツアーへと駒を進めている。

 アメリカの2部ツアーであるネーションワイドは、レギュラーツアー並みに4日間72ホールがあたり前になっている。現在年間31試合が行われ、ベンホーガン、ナイキと様々な冠スポンサーを経て継続してきた。

 かつては3日間大会が多かったが、それを見事に発展させている。日本が真似た優勝者のレギュラーツアー参戦権獲得や、年間3勝すると即座にその後のレギュラーツアーに出場できたりと、旬の選手を引っ張り上げよとする仕組みが、層の厚さを作り上げてきた。

 ここから巣立った中には、トム・レーマンやデビッド・デュバルのようなメジャー王者もいる。

 日本でもこの夢を実現するためには理想は全大会4日間。だが、経費がかかることもあり「現状では3日間大会をスポンサーさんにお願いしています」(渡辺ディレクター)と、地道な努力が続けられている。

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