予選通過スコアが6アンダーと、これまでの記録4アンダーを2打も塗り替えるバーディ合戦になった今季男子ツアーの開幕戦。オーストラリアのウェイン・パースキーが21アンダーで日本ツアー初Vを果たしたが、あまりにも難易度が低いコースセッティングに対する是非が議論を呼んでいる。
パースキーは03年から日本ツアーに挑戦していたものの、これといった戦歴もなく今季もQT12位の資格での参戦。今回のQTは12月に異例の中断となり、3月に決勝を再開したが、その間コーチについてウェッジを徹底的に練習していたという。
「コースが短い上に、ティショットがやさしいから、ウェッジゲームになったのがよかった」とパースキーは勝因を語る。
今年から会場になった東建塩河CCの全長は690ヤード。男子ツアーのコースとしては極端に短いわけではないものの、昨年ツアーが開催された6000ヤード台のコース(7試合)のすべてが、パーを70~71に設定していたのに対して、今回は一般営業と同じ72としていたのは、特例と言ってもいいだろう。
しかも、ティショットが打ち下ろしとなるホールが多く、4つのパー5全部が2オン可能で、パー4でも無風状態ならセカンドで使う番手は、ほとんどPW、AW、SWといったウェッジ系になってしまう。
さらにフェアウェイが広く、ほとんどOBも気にならないため、短いホールでも多くの選手がドライバーを手にする。しかも2グリーンでグリーンまわりが広い。
「風にもよりますけどパー4で7Iとか8Iを使うのは10番(450ヤード)と12番(445ヤード)の2ホールぐらい。あとはほとんどSWです。これじゃ技術の向上になりませんよ。フェアウェイから打つ重要性なんてないんですから、ゴルフが雑になります。どうやって世界に通用する選手を育てようというんでしょうかね」
と辛らつな感想を述べる選手もいた。
優勝も狙える位置で最終日を迎えた藤田寛之は、今回のバーディ合戦を、「ツアーのレベルが上がっている証になればいいんですけどね。でも、上位でプレーしていながら、予選カットも気にしている変な気分でした」と言えば、
谷原秀人も「面白くないですよ。技術なんていらないんですから。でも、どんどんスコアは伸ばさなきゃならないので、やってるのは苦しいんですよ」と言う。
解説の金井清一は、「昔は開催コースから10アンダー以上のスコアを出させないようにセッティングして欲しいとか、要望があったものですけどね」と言うが、それに対してJGTOツアーディレクターの小山和顕氏は、
「下見をした段階でいいスコアが出ることはわかっていました。7000ヤード以下ですから、パー5をパー4にすることも考えましたが、開幕ということで、たくさんバーディを取ってもらって、プロの凄さを見てもらおうというコンセプトになりました。
あとはキーパーの方が張りきって、非常に均一なグリーンに仕上がったことも大きかったと思います。クセのない転がりをしますから、調子のいい人は、入りだすとどんどん入るようになります。
昨年の東広野(三菱ダイヤモンドカップ、優勝5アンダー、予選通過8オーバー)のようなコースがある一方、今回のような試合もあっていいのではないでしょうか」
と説明する。
では、開催コースはどう考えていたのだろう。
「おそらく20アンダーは行くだろうと予想していました。難しくしてイーブンパーで争う大会もいいですが、バーディ合戦の大会があってもいいのではないでしょうか。ぜひウチでプレーしてプロとの差を実感してほしいと思っています」(東健塩河CC副支配人・吉田直樹氏)
「オーストラリアのグリーンはコンクリートみたいだからね。グリーンの状態がよかったから気持ちよくプレーできた」とパースキー。
「今回はコースに接待されました」と17アンダーで8位タイになった立山光広。接待ゴルフが日本ゴルフをダメにしたとバブルの時代に警笛を鳴らした識者も多かったが、スコアのバブルとならないことを願うばかりだ。
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