プレーの前夜、ガイドブックやネットで入手したホール図で翌日ラウンドするコースのポイントをチェックする。そんなやる気のあるゴルファーにとって、コース情報はリアルなほどありがたいはず。そうしたニーズに完璧に近い形で応えるネット・サービスが評判になっている。
今やホール図なら、各種ガイドブックやネットを通してほとんどのコースのものが手に入れられる。もっとも、ほとんどは2次元情報の平面図で、実際にプレーするとイメージと差があることも少なくない。
そんな中、究極とも思える3次元映像で、しかもどの方向、どの高さからの映像もインタラクティブに映し出してくれるコースガイドがネットでサービスを開始、ユーザーを順調に増やしている。
デジタルゴルフというIT企業が運営する「ヴァーチャルゴルフガイド」がそれで、現在関東地区を中心に全国117コースの情報を提供し、すでに2万人のゴルファーが利用しているという。
その有益性は実際に試してもらうしかないが、いわゆるゲームソフトのゴルフゲームの映像をさらに精密に再現したもので、有料でダウンロードすれば、3D画面でコースの隅々まで、好きなアングルからチェックできる。
さらに、ゲーム感覚でシミュレーション・プレーをすることも、プリントアウトして自分だけのヤーデージブックを作成することも可能だ。
このサービス、一般には昨年10月からの提供なので、認知度はまだまだ。しかし、初めての本格的プロモーションとなった2月のジャパンゴルフフェアでは大きな反響を得、その後登録会員が大幅に増えたそうだ。
また、同会場ではアメリカや韓国といったゴルフもIT産業も盛んな国の関係者から大きな関心を集めたという。
しかし、一気にユーザーを増やすには大きな問題がある。それは「コースの3D画像を作るのは、とても手間のかかる作業が必要で、新たなコースは月2カ所が限界」(同社・広報担当者)という点だ。
コースの詳細なデータを得るにはGPS測量だけでなく、実際に現地測量を行い、さらには上空からのスカイビュー映像を再現するための空撮も欠かせない。さらには、そのコースで使用するピンフラッグやティマークまで再現する念の入れようだからだ。
最近導入したばかりの北海道の小樽CCに評判を聞くと、「ハウス内でモニターできるようにしていますが、リアルさに皆さん驚かれますね。ゲストのお客さんには、プレー前に大変役立つと思います」と今後の評判の広がりに期待を寄せている。
ところで、こうした3Dコースガイドの登場をゴルフ場業界はどうとらえているのだろうか。
ゴルフ場運営コンサルタントの菊地英樹氏によれば、「先進的な経営者であれば、当然視野に入れていると思います」という。そして、最終的には乗用カートに搭載するナビシステムに組み入れる将来図まで描いているだろうという。
そうなると、例えば次打の落としどころがブラインドの地点でも、先の状況が正確に把握できるので、より積極的なプレーが可能になる。
「ハード面でまだ大きなコストがかかるので、簡単には導入できないでしょうが、こうして3D画像のサービスが始まっているのですから、そうしたシステムを視野に入れたゴルフ場は少なくないと思いますよ」(菊地氏)それは確かに便利だが……。
でも「なんだ、こんな地形になってたの。知らなかったなぁ」といった言い訳ができなくなることも、また確かである。
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