昨年、ブームに沸いた女子ツアーは、トーナメントのテレビ視聴率も最終日の関東地区の比較では、全試合で同週の男子ツアーを上回った。しかし、今季は、ブームの立役者だった宮里藍の不在がどれほど数字に響くか、関係者の間でシーズン前から心配されていたが、先々週のヴァーナルレディースで、視聴率が同日の日本プロ選手権の後塵を拝してしまった。
先々週までのトーナメント最終日、関東地区のテレビ視聴率(ビデオリサーチ調べ)は、女子はほぼ6~7パーセント台で推移していた。ところが、イ・チヒが2位に6打差をつけて圧勝した展開のヴァーナルは、一気に3.8パーセントにまで落ち込んでしまった。3パーセント台は、昨年は一度もなかった数字である。
一方、男子ツアーは開幕から第3戦まで、昨季と同程度の3~4パーセント台と低迷。だが、近藤智弘がプレーオフの末、劇的なツアー初優勝を飾った日本プロで、今季初めて5パーセント台(5.0パーセント)に乗せた。プレーオフが放映されなかったとはいえ、それまでのゲーム展開が白熱し、生中継だったおかげだろう。
「5月の休日はもともと家族で外出する家が多く、低めの数字が出る時期といわれています。最終日が雨だったら外出が減り、もっといい数字になる内容だったと思います」と某テレビ関係者。
それでもとにかく、女子ツアーを上回った。というか、女子ツアーが男子ツアーを下回ったのだ。
「確かに関東地区の数字は悪かったですね(中部、関西では4パーセント台)。一番の要因はゲーム展開だと思います。中継が始まるとすぐに、イ・チヒ選手が独走する展開になりましたから」と語るのは、大会事務局長の重松弘之氏だ。
宮里の不在を考えれば、今季はある程度、数字が下がるのは仕方がない。しかし、それが女子ツアーの人気、注目度が《宮里以前》の昔に戻り始めたとなると、心穏やかではいられない。
「そうは感じておりません。ギャラリー数は好天の最終日は6592人。3日間合計で1万1263人。これは宮里藍さんが優勝した昨年に次ぐ多さです。会場の熱気からもファンの関心が格段に落ちたとは思いません」(重松氏)
元テレビ朝日プロデューサーの三好康之氏も同様の見方で、「今回は特別で、この数字をもって女子ツアー人気はしぼみつつあると見ないほうがいいでしょう。それと、昨年の数字は突出したブームの数字であり、それと比べて判断するのも良くないと思いますよ」と語る。
今回は、早々に勝負の行方が見えたことに加え、不動裕理や横峯さくらといった人気・注目選手が上位に絡まなかった結果で、《基礎票》ではないという。
しかし、三好氏は「一般の声を聞く限り、女子ツアーに対する関心度が衰えたとは思えません」と指摘する一方で、高い人気が続き、多くのファンが習慣的に毎週、トーナメント中継にチャンネルを合わせてくれる今だから、接戦・激戦になるように選手個々が努めなければ、と叱咤激励する。
確かにこのところ、横峯、古閑美保、茂木宏美といった若手実力選手に、上位で活躍するシーンが見られないという不満や寂しさがある。
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