今年8月末に閉鎖になる全日空グループの石垣島GCの会員約30人が、経営会社の(株)石垣全日空リゾートに対し、会社側の対応に異議を唱えて内容証明を送っている。
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飛行場になる予定
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石垣島GCは太平洋クラブ系列のコースとして昭和50年にオープン、昭和63年に全日空グループに売却されたコース。
新石垣空港の建設予定地にかかっているため、会社側は今年2月23日付で、8月末までに預託金を返還する旨を会員に通知していたが、これに反発したのが、今回異議を唱えた会員たち。
オープン当時からの会員である泉水朝繕氏は、「平成12年にここが新空港予定地として正式決定してからこれまで、会社側からは何の説明もなかった。いきなり預託金を返すから会員権を添えて返還の申し込み書類を送れでは、ゴルフが出来なくなる我々に対する対応として憤りを感じる」という。
現在の石垣空港は滑走路が1500メートルしかないため、大型ジェット機はもちろん、貨物用の中型ジェット機も離着陸出来ず、乗降客数の調整や貨物の搭載制限が行われている。このため、2000メートル級の滑走路を持つ新空港が待ち望まれていた。
泉水氏らは「今までなら平日の午後2時からとか、仕事が終わってからとかでもプレーすることが出来た。そのプレー環境が奪われることについて、会社側がどれだけ配慮し、行動したのか極めて疑問」だという。
同GCが閉鎖されると、石垣島にはゴルフ場がなくなる。石垣港から船で25分ほどの小浜島には、ユニマットグループ系のパブリックコースがあり、宮古島にもいくつかコースはある。
しかしいずれも「行き帰りを考えると1日がかりになるから、土日しか行けない。天候が悪化すれば船が欠航して帰れなくなる。高齢の人だと船や飛行機に乗って1日がかりで行く、というのは体力的にもかなりしんどい。
交通費の問題もあるから、ゴルフ自体を止めざるを得なくなる人も出てくる。それなのに預託金だけ返せばいいだろう、というのはあまりにも誠意がない」(泉水氏)
泉水氏の代理人である天方徹弁護士も、
「石垣の人は年間250回はプレーする。基本的に土日しかプレーしない首都圏の事情とは大きく異なる。
そもそもゴルフ場は会員に対して優先的にプレーをさせる義務を負い、会員は年間費を支払う義務を負うというのが会員契約の基本。
会員側に何の落ち度もないのにコースを閉鎖して預託金を返す、というのは一方的な会員契約の破棄にあたる。公共事業のためだから一定の理解は必要だが、配慮がなさすぎる」という。
これに対し会社側は、
「用地の収容にあたって、代替地についての打診も沖縄県に対してはやってはみたが、これまで会員から代わりのプレー環境の手当を強く求められたこともなかった。
移転補償金も営業補償程度は出るが、預託金部分は対象外。返還に必要な7億円は弊社の自己負担。
今回の内容証明によって泉水さんら、会員の方が我々に対し要望があることはわかったので、出来る限りのことをするべく、話し合っていきたい」(石垣全日空リゾート)という。
夕方からの無料開放制度を利用してきたジュニアたちも練習拠点を失う。「作って100億円、売って10億円」という現在のゴルフ場事情。新たに別のコースを作れというのはムリかもしれないが、プレー環境を奪われる会員になにがしかの配慮は、やはり必要なのだろう。
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