いま、米LPGAツアーで「オチョア旋風」が起きている。今年に入って、彼女が参戦した過去6試合を振りかえってみると、優勝するか、2位(タイを含めて)に入っている試合ばかりという状況。現在賞金ランキングのトップを走っているだけでなく、平均ストローク数でも、バーディ、イーグル奪取数でもツアーのトップ。昨年までの彼女とは、まるで別人のような成績のだが、一体何が、24歳メキシコ出身の彼女に起きているのか?
今のような好調を維持するきっかけになったのは、カリー・ウェブに優勝をさらわれ2位になったクラフトナビスコ選手権からだ。
そのナビスコで、オチョアは「昨年来、騒がれているのは、アニカ・ソレンスタムとミッシェル・ウィ、それにポーラ・クリーマーと宮里藍ばかり。ソレンスタムは仕方がないにしても、若いプレーヤーばかりが注目されて、自分が無視されていることに、発奮している」と発言。
そのために、「自分のスウィングをみっちり練習して、オフシーズンではハードな練習をこなしてきた」ために、その成果が出始めたという。
オチョアといえば、昨年の全米女子オープンの最終日、最終18番ホールでの2度の池ポチャで優勝を逃した経験がある。
童顔の彼女が涙を流しながらショットを打っていたシーンは、観戦していたゴルファーたちの同情をさそったが、同時に、土壇場のプレッシャーに弱いのではないか、と見られていたのも事実だろう。実際、本人もそれを意識していたようだ。
「今年のナビスコの最終日18番ホールで、多くのギャラリーに囲まれ、優勝争いで、すごいプレッシャーがかかっているなかイーグルを取り、試合に勝つチャンスを残すことが出来た事はとても大事だった」と語っていた。
昨年の全米女子オープンと同じような場面だっただけに、結果的にはプレーオフで敗れたものの「イーグルを取らないとプレーオフには残れないと分かっていた状況で、あのセカンドショットが打てたことが、自信に繋がった」という。
女王ソレンスタムまでもが「彼女と以前にラウンドしたことのある多くの人々が、優勝を狙える彼女の能力に気がついていた。いまはただ、それを証明しているだけ。私は彼女が大好きで、彼女の優勝を率直に喜んでいる」と敵に塩を送るような発言をしている。
もともと能力はあったものの、ここ1番でのプレッシャーに負けてミスを繰り返していたが、ナビスコ以降、完全に吹っ切れたということだろう。
そういう意味では「女性番フィル・ミケルソン」といったところかもしれないが、ミケルソンに比べると、年齢的にははるかに若い。
先のサイベース・クラシックの優勝インタビューで、自分で自分のことを世界最高のゴルファーと思うか、と聞かれると
「それは難しい質問。良いプレーヤーはたくさんいるから答えられないけれど、重要なのはシーズンの終わりに誰がトップに立っているかということ。毎週、優勝争いに加わり、勝とうと努力していれば、それによって誰がベストなプレーヤーか、自ずと分かってゆくはず」
と答え、今から賞金女王の座を狙い、それに自信を覗かせている気配だ。
長い目で見れば、いまだ16歳のミッシェル・ウィが育つまでの「過渡期の花」という存在に終わるかもしれないが、少なくともこの「メキシコ娘」が秋までツアーを引っ張っていくことになるだろう。
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