今、ターミナル駅などに行くと何種類ものフリーペーパー、フリーマガジンがあちこちに並べられている。都会では手軽な情報メディアとしてすっかり認知された感がある。そうしたなか、山梨県のほぼ全ゴルフ場である37コースが協力し、独自にフリーペーパーを製作。県内だけでなく、東京都内にも配布し、好評を得ているという。こうした数多くのゴルフ場がまとまって独自に行う広報活動は珍しく、他県のゴルフ場関係者にも注目を集めている。
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山梨に来て欲しい
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フリーペーパーといえば、かつては≪安かろう悪かろう≫で、ロクな情報やサービスが載っていないというイメージがあった。ところが、発行部数60万部といわれる『R25』(リクルート)がそうした認識を変え、生活に役立つ情報を期待して積極的に手を出す人が多くなった。
こうしたフリーペーパーを自分たちの手で企画、発行したのが、山梨県ゴルフ場支配人会だ。この春、『ゴルフやまなし』(オールカラー、32ページ)というタイトルで5万部創刊した。
誌面は加盟ゴルフ場のPRを中心に、利用客に使いやすい道路案内や各自治体が提供する観光ガイドなどで構成されている。
また、表紙には加盟コースの携帯電話用HPにアクセスできる「2次元コード」が印刷され、そのHPから直接予約が入れられるゴルフ場では、集客につながっているそうだ。
それにしてもこうしたフリーペーパー発行は、通常は広告代理店等が企画、営業するもので、ゴルフ場側が直接発行する例は珍しい。
「えっ、そうなんですか」と意外そうに答えるのは、同支配人会の山田守郎会長(ダイワヴィンテージGC総支配人)だ。
山田会長によれば、山梨県全体の集客につながることで、自分たちでできることなら何でもやってやろう、というのが同支配人会のカラーらしい。
実際これまでも、早い時期から「スタンプラリー」を始めたり、支配人会主導でジュニア教室を実施したりと、さまざまな活動を行ってきた。
今回も街でのフリーペーパー人気を知り、ならば一度作ってみようと、案外簡単に決まったという。冊子には多くの自治体の広告が載っているのだが、それらはすべて支配人たちが自ら役場に足を運んで、交渉し獲得したものだという。
それほど一致団結する背景には、やはり「山梨県のゴルフ場をもっと知って欲しい」という思いがあるようだ。
確かに東京周辺のゴルファーにとって山梨県のゴルフ場は、等距離としても千葉や茨城、栃木のコースより選択順位が下になりがちだ。山越えのアクセス、あるいは山間部のゴルフ場といったイメージから何となく敬遠されている。
同支配人会には、そうしたイメージを払拭し、多くの人に来場してもらいたいという共通した思いがあるのだろう。
「ですから、ゴルフ場同士の関係は、恐らく他所にないほど緊密です。例えば、すべてのゴルフ場が毎月の入場者数を一の位まで連絡しあっています。また、好評な企画があれば、互いに教えあっていて、競争相手という感じはないんですよ」と山田会長。
だから、これからも面白そうな企画があれば積極的に実施していくという。今年は山梨県のゴルフ場に足を運ぶ首都圏ゴルファーが増えるかもしれない。
ちなみに今回のフリーペーパーが好評ということで、年内にあと2回発行する予定という。
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