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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 6/27号
2006/6/16更新
「誤所からのプレー」で2打罰も今季2勝目達成
中田美枝が勘違いした「風で動いたボール」処置

 リゾートトラストレディス(6月2~4日)は、中田美枝(29)がツアー2勝目を飾った。その優勝争いの終盤戦で中田に起こったハプニング。中田自身も同伴競技者もそれを見ていたアマチュアゴルファーも多くが勘違いしていたルールについておさらいしよう。


優勝したからいいものの……

 そのハプニングとは、トップの中田と2位の古閑美保が3打差でむかえた14番ホールでのこと。

 中田がパー4の2打目をピン上5メートルにつけ、ボールをマークしてラインが見えやすいようにとボールを置いたままカップの反対側でラインを読もうとしたところ、風でボールが動いてしまった。

 傾斜もあって、4~5メートルも動いた。中田は元の位置に戻して2パットのパー。

 ところが、ギャラリーの指摘で競技委員が確認すると、「誤所からのプレー」として中田に2打罰が課せられダブルボギーとなり、3打差が一気に1打に縮まってしまった。

「誤所からのプレー」とは「ストロークを行ったり球をドロップしたりプレースすることを規則が許してない所のコース上で、プレーヤーが自分のインプレーの球に対してストロークを行った場合」(規則20-7a)とある。

 しかしボールの後方にマーカーを置いたままなら、元に戻してもいいのではないか?

 中田も「私自身、そのまま止まったところから打ってもいいかなとも思ったんですが、(同伴競技者の)の古閑さんも福嶋(晃子)さんも元に戻していいんじゃないかなあ、というので2人がいいと言うし、そうだろうなとあやふやなままマークした位置にボールを戻してしまいました。競技委員を呼ばなかった私のミスです」とその場面を振り返った。

 古閑も福嶋も誤解したケース。中田に2打罰を告げた今野順子競技委員は「マークしたボールをリプレースした時点でインプレーになります。マーカーが置いてあろうとなかろうとボールはインプレー状態です。風で競技者のボールが動かされたので、元に戻さず止まったところから打たなければなりません」と説明する。

「元に戻したところ」が「規則が許していない所」だったということだ。もちろん元に戻す場合もある。

「止まっている球が局外者によって動かされても罰はなく、その球はリプレースされなければならない」(規則18-1)とあるので、プレーヤーやキャディや携帯品以外の同伴競技者などの局外者がボールを動かした場合は元に戻せるのだ。

 今回のケースは「風で競技者のボールが動かされた」である。「風は局外者ではない」ので、止まったところから打つのが正解だった。

 では風も傾斜も強くボールが止まらないときにはどう対処すればいいか?

「ボールを置こうとしても、2度転がって止まらない場合は、ホールに近づかない最も近い位置を探してそこから打つことになります。それが1センチなのか1メートルなのか、それ以上動かす場合もあるでしょうね」(同)

 止まらないからといってグリーン面に押し付けたりしたら、「垂直方向に球を動かした」とされ1打罰、さらに「ライの改善」とされ1打罰、計2打罰となってしまう。

 ただ、ボールがなんとか止まったが動いてしまいそうな場合もあるだろう。ボールから離れてラインをじっくり読みたいときは、男子ツアーや米ツアー選手のプレーが参考になる。マーカーの前方ではなくカップに対して後方にボールを置けばいいのだ。

 翌週のサントリーレディスでディレクターを務めた今堀りつプロも
「正規の場所以外、つまり、インプレーにならないところにボールを置くことに関しては問題ありません。マーカーの後方に置いてさえいればラインも見られるし、仮に風でボールが動いても、マークした前方に置き直すことができますからね。それもひとつの方法だと思います」
 と話す。

 中田は動揺することなく、2打罰を宣告された直後の2ホールで2バーディを重ねて優勝できたが、もしそうでなかったら、ちょっとした勘違いが大きな代償になるところだった。

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