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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 6/27号
2006/6/16更新
砂を粗くならして、バンカー難度をアップ
二クラス主催のメモリアルでプロから不満の声

 ゴルフコースを難しくする新しい方法が見つかった? 先のメモリアルトーナメントのバンカーの事だ。プレーヤーの技術の進歩やゴルフ用品の進化に対して、これまで、トーナメントの開催コースは、ラフを伸ばしたり、距離を伸ばすことしか、なすすべがなかったのだが、それが、ミュアフィールドの新機軸によって、多くのコースが救われることになりそうだ。

 ミュアフィールド・ビレッジGC(オハイオ州)のバンカーのセッティングというのは、非常に単純なもの。従来のバンカーのレーキの歯を、1本おきに剥いて、半分に減らしただけ。このレーキで、グリーン方向に向かって砂をならせば、それで出来上がり、というものだ。

「もっとも安上がりな、コース改造」と語ったのは、デビッド・ハウエルだが、粗いレーキで砂を均すことによって、極端にいえば田んぼの畝のような山と溝が出来るのだが、それがグリーン方向に溝が掘られているために、バンカーに落ちたボールのほとんどが溝の中に入ってしまう。

 ある意味では、バンカーに入れれば、常に目玉状態に近くなり、「ボールにスピンがかからない」(フィル・ミケルソン)ということになる。

「(畝の)上にボールがあれば完璧なライといえるが、溝の中に落ちてしまえば、もう(パーで収める)チャンスがないよ」(ニック・プライス)

 そんなことから、メモリアルに参戦したプレーヤーの多くから不満の声が聞こえたが、こうした批判に対して、ホスト役のジャック・二クラスは、「バンカーというのは、もともと難しいもの。プロのプレーヤー達は、すごくうまいといわれているが、それを証明してもらいたいものだね」と批判をかわしている。

 実際、USGAのコース管理部門では、最近のコースがあまりにバンカーの管理に金も労力もかけ、きれいに整備され過ぎていることに対して、「バンカーがハザードであることを忘れるべきではない」と以前から、警鐘を鳴らしていた。

 そうした意味では、バンカーが難しいという批判は的外れといえるのかもしれないが、これによってコース攻略の方法すら、大きく変わってしまう可能性まであるといえるだろう。

 全英オープンのポットバンカーを想像してもらえれば分かると思うが、ポットバンカーに入れるだけで、ほとんどボギーが確実になることから、プレーヤーたちは、バンカーに入れないようにコース戦略を考える。

 例えば全米オープンなどでは、ラフに入れるよりも、バンカーの方が楽なので、むしろバンカーに入れる危険を冒しても、ピンを狙って行くということがこれまでも結構あったのだ。

 しかし普通のバンカーがポットバンカーのように難しくなれば、ボールの落とし場所、狙い場所までが変わってくる可能性まで、十分にある。

 そうした意味では、バンカーのレーキを変えるだけで、コースを改造したような効果だって期待できるのだから、今後多くのトーナメントコースでこのバンカー作戦を採用する可能性もあるだろう。

 もっとも競技ゴルフから引退したジャック・二クラスは、自分がホストを勤めるメモリアルも今年から参戦していないが、自分が出ないからといって、すぐにこうしたバンカーを作ったというのも、なんとも皮肉というか、意地悪な話といえる。

 以前からアイデアは持っていたが、自分がプレーする分には難しすぎると感じていたとも、勘ぐりたくなる。

 いずれにしても、バンカーレーキひとつが、今後のトーナメントゴルフの風景を変える可能性を持っているだけに、他のトーナメントコースで、どれだけ追従していくかに注目したいところだ。

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