宮里藍が3位と大健闘した全米女子プロは、ベテランのパク・セリとカリー・ウェブのプレーオフの結果、パク・セリが2年ぶり、メジャーは4年ぶりの優勝を果たした。
同じ週に男子ツアーのバークレイズクラシックを制したビジェイ・シンを加えて、USAトゥデイ紙が「まるで昔に戻ったよう」と評したが、やはり大きな試合となると優勝経験の豊富なベテランたちの活躍が光る。
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≪ベテラン≫2人のツーショット
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女子メジャー第1戦、クラフト・ナビスコ選手権ではカリー・ウェブが優勝、全米女子プロ優勝のパク・セリとならんでベテラン勢の復活と活躍が目立っている。
これまで、女子ツアーといえば、ミッシェル・ウィ、ポーラ・クリーマー、モーガン・プレッセル、宮里藍、諸見里しのぶなど20歳以下からその前後のプレーヤーばかりが注目を集めていた。それが、ここにきてベテラン勢が意地を見せているのだ。
全米女子プロで、宮里藍は、「メジャーでこそ本当の実力が試される」と語っていたが、今年の全米女子プロはグリーンが重く、ボールは止まりやすかったものの、多くのプレーヤーが難しいと口にしていた密度の濃いラフに苦しんで優勝を逃してしまった。
ウィやクリーマー、ロレーナ・オチョアといった飛ばし屋たちも、3日目、4日目に吹き荒れた強風のためラフにつかまり、スコアを崩し優勝戦線から脱落してしまった。
そうした意味では、飛ぶほうではないが、十分に戦えるくらいは飛ばせるウェブやパク・セリといった《中距離ヒッター》で、ラフから脱出できる技術を持ったベタランが生き残ったのは、当然といえば当然であった。
ウェブがナビスコで優勝した際、こんなことを語っていた。
ナビスコでも、ウェブはオチョアとのプレーオフで勝敗を争ったが、1打差3位タイのウィに対して、「ウィよりもオチョアのほうがプレーオフに残る可能性が高いと思っていた」
それはツアー未勝利のウィに対して、オチョアのほが勝ち方を知っているという理由からだった。
ここ1番の集中力を持ってパットを決めてくるのは、やはり優勝経験の豊富なベテランということなのだろう。
ウェブの予想はよく当たり、全米女子プロでも3日目にパク・セリとラウンドした折、そのスウィングを見て「近い将来、必ず勝てるはず」とパク・セリを励ましていたという。
2人がメジャーに勝てたのは、もちろんショットそのものが復活したからこそだろうが、2人とも若手ばかりが騒がれる中で、「ホール・オブ・フェーマー」としての意地もあったに違いない。
パク・セリは「私は韓国ゴルフのキングであり女王だ」と語り、「韓国の若手プレーヤーも含めて,LPGAは過去2、3年で大きく変わった。若くてきれいで、才能あるプレーヤーが多く出てきた」ことに、女王としての意地を感じていただろう。
ちなみにパク・セリは、来年、殿堂入りが決まっている。
またウェブの方でも、「若いプレーヤーだけでなく、ジュリ・インクスターも今年の初めに優勝しているし、アニカ・ソレンスタム、パク・セリらが勝ち星をあげ、若いプレーヤーとちょうど良い状態になっていきた」と、マスコミが若手ばかりを注目していることに異議を唱えている。
しかし、この2人、ベテランといってもパク・セリはまだ28歳、ウェブも31歳。あまりに若いプレーヤーが多いためオチョアまでもが若手よりもベテラン組に数えられているが、彼女にいたってはまだ24歳だ。
ウェブもパク・セリも25歳までに殿堂入りの権利を獲得しているのだから、若手の活躍はいまに始まったことではないのだが……。
いま35歳のアニカ・ソレンスタムがウェブを制して女王の座を確立したのが30歳から31歳にかけてということを考えれば、ウェブもパク・セリもまだまだこれからという気がしないでもない。
そうした意味では宮里藍も、ライバルがたくさんいる大変な時期に米ツアー入りしたといえる。
飛距離も伸びて、若干アップライトなスウィングで弾道も高くなった宮里。25歳までにウェブやパク・セリの水準まで達するのかどうかは分からないが、とりあえずは最大の賞金額を誇る来週開幕の全米女子オープンで、ベテランたちを相手にどんな戦いを挑むのか、注目されるところだ。
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