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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 7/18号
2006/7/4更新
何かと話題の「TOB」。ゴルフ場でも珍しい
株式公開買付で企業買収が成立

 ホリエモンや村上ファンドのおかげで、お茶の間でもすっかりお馴染みの経済用語となったTOB。旧 大木建設の系列コースだったロイヤルCC(栃木県河内郡)が、TOB(株式公開買付)を使って埼玉県のプラスチック成形部品メーカーに売却された。法的手続きを経ずにゴルフ場が売却されること自体は珍しくないが、TOBを使ったケースは珍しい。

 上場会社の株券は普通、証券会社に注文を出して証券取引所で買う。しかし取引所を通さないで大株主から直接、それも発行済み株式総数の3割以上を買う場合は、買値や買う株数などを公に宣言してから買わなければならない。

 そんな大量の株券を、取引所を通さずにこっそり売買されては、他の投資家に不利益を与えかねないので、証券取引法で公表を義務づけているのだ。

 ホリエモンはニッポン放送の株を買う際、ルールの穴を巧みに突いて、このTOBの宣言をせずに3割を超える株券を取得して避難を浴びたし、村上ファンドに5割近い株を買われた阪神電鉄は、阪急にTOBで株を買ってもらう方法を選んだ。

 実はこのTOB、対象は上場会社の株だけではない。未上場会社でもその会社が過去に50人以上から出資を募っていると、上場会社と同様に、有価証券報告書の提出を義務づけられている。

 その有価証券報告書提出会社の株券を3割を超えて買う場合には、上場会社の株を買う場合と同様、TOBの手続きを踏まなければならない。

 ロイヤルCCはコース施設をオーアンドエムグリーンクラブ(以下、O&M)が保有、運営はO&Mの100パーセント子会社であるロイヤルグリーンクラブ(以下RGC)が請け負っている。

 O&Mは、プレー権の付いていない普通株式と、プレー権が付いた優先株式の2種類の株券を発行しており、普通株式2500株は設立母体だった東証一部上場の中堅ゼネコン・大木建設グループと百貨店の松屋が、プレー権付きの優先株3300株は、3194人の正会員が保有する株主会員制をとっている。

 言い換えれば、株主会員制で50人以上から出資を募っているから有価証券報告書提出会社なのだ。

 このほか、バブル期にRGCが預託金型の週日会員権(平日会員権)を発行しており、この預託金会員が432人いる。

 今回TOBの対象になったのは、プレー権が付いていない2500株(発行済み株式総数の43.1パーセント)。大木建設が2年前に民事再生手続きに入ったため、大木建設のメインバンク・みずほコーポレート銀行がO&Mの株券の売却先を探していた。

 ここで新たに大株主となったのは、昭和14年創業の染宮製作所。通信機器や精密機械の部品をプラスチックで作っている老舗の部品メーカーだが、ゴルフ場買収はチサンCC黒羽に次いで2コースめ。

 今回の買値は1株7902円で、2500株だと1975万円の計算になるが、無論、36Hのゴルフ場をそんな値段で買えたわけではない。

 O&Mが大木建設から借りていた5億円強の負債と、RGCの預託金債務約17億円弱も引き継いでいるので、実質的な買値は約22億円といったところだろう。

「大株主が代わっただけで、運営はこれまで通り。民事再生をやろうなどとはまったく考えていないので、安心してプレーしていただきたい」(O&M)

 借入金も預託金も少額なので、法的手続きの必要はなさそうだが、売上高は過去6年間、5~6億円台と、36Hのコースとしては厳しい状況が続いており、長年続いた営業赤字がようやく平成18年3月期でわずかながら黒字転換したばかり。

 会員が発行済み株式総数の約57パーセントを握るコースだけに、会員の新規募集やパブリック化などの安易な手法は許されない。会員の意向を反映した上で、なおかつ経営基盤を安定させる経営手腕が新大株主には期待される。

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