本選の華々しさとは別に、コースに所属していないと日本アマに出られない!? そんな悲鳴が全国から集まっている。今年は東広野GC(兵庫県)で開催された日本アマチュアゴルフ選手権の出場資格は、過去の優勝者や前年度上位選手などのシード選手以外は、基本的に全国8カ所(北海道、東北、関東、中部、関西、中国、四国、九州)で行われる各地区アマの上位選手130人に与えられている。日本アマ本戦出場には、コースのメンバーであることという条件はないのだが、問題は予選を兼ねた地区アマだ。
出場資格がそれぞれ微妙に異なる上に、ほとんどの地区でハンディキャップ以外に連盟加盟クラブの会員であることが大前提となっており、所属コースを持たない者には門戸が開かれていないのだ。
個人会員の直接エントリーを認めているのは、地区連盟が一都道府県を統括しているため、道大会イコール地区アマとなる北海道のみで、他は県大会上位かパブリック選手権上位、ジュニアや学生の大会での実績がある者以外は加盟コース所属でないと出場できない。
つまり、会員権を持たないものにとって条件が厳しいことは間違いない。
「コースを持っていないので予選に出ることができません。日本アマは学生時代からの目標ですが、年々レベルは上がるし、年を重ねるごとにチャンスは少なくなると思います」と語るのは日本アマ出場を目指す社会人2年目のアマ、Aさん。
さらにBさんは「コースを持っていないと試合に出られないので、そのためだけに栃木の遠方の安いコースを購入しました。仲間と行くコースは別なので、ほとんど利用することはありません。年会費、名義書換料は無駄金ですね」と、口にした。
こうまでしないと日本一決定戦に出られないのが現実だ。
加盟クラブの会員以外を締め出している理由としては「加盟クラブの年会費で運営しているので」(関西ゴルフ連盟事務局)というのが主流。
もっともなように聞こえるが、これは目先のことしか考えておらず、多くのゴルファーが切磋琢磨してこそ加盟コースが潤い、ひいては連盟をも支えるという広い視野が欠如していると言わざるを得ない。
もちろん、各地区連盟を統括する立場で日本アマを主催するJGA(日本ゴルフ協会)が、積極的に門戸開放へと動くのが本筋だ。個人会員に対して各地区オープンの門戸は開いたものの、この現状をどう受けとめ、この先のビジョンをもっているのだろうか。
「各地区連盟の大会を予選にしているのが日本アマで、地区連盟は加盟コースからできているという成り立ちの問題です。各県大会という誰でも出られるもので上位に入れば地区アマ出場の道はあります」(塩田良事務局長)と、現状に対する危機感はあまりない。
だが、入会金1万円、年会費1万円を払ってJGA個人会員となっても、他の大会を経なければ日本アマ予選に当たる地区大会にすら出られない現状に、不満の声は尽きない。
地区オープンには出られても、こちらはプロも出場するとあってレベルに差があり、やはり地区アマに出たい、という声は多い。
これに対して前出の塩田氏は「JGA個人会員に対しては(出場できる方向で)検討してはいます。ただ、今すぐ結論が出るというものでもない。遠い将来? いえ、そう遠くもないです」と、可能性を示唆したが、いつになるかは明らかではない。
全米オープンは、全米各地で行われる予選を通過すれば本戦に進出できるが、そのための資格はUSGAハンディキャップ2.4以下。つまり実力さえあれば晴れの舞台に立つ機会は与えられており、日本との差は歴然としている。
会員権が財産として売買され、ゴルフが健全なスポーツとして成長してこなかった日本のゴルフ界。安くなったとはいえ、まだまだ高額な会員権を持たないものにとっては、競技ゴルフへの道はまだまだ険しい。
世界レベルの選手を育てるためには底辺拡大が急務と叫ばれて久しいが、スポーツでありながら機会均等とは程遠く、貧乏人は苦労して這い上がれ、というシステムがいまだに残っているようでは、世界に追いつき、追い越す選手の層が厚くなるにはまだまだ時間がかかりそうだ。
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