日本アマチュアゴルフ選手権(東広野GC・7月4~8日)は、文字通り「日本」という冠がついた大会。しかし、マッチプレーで行われる決勝戦は史上初の韓国人同士の対決。一昨年と昨年の決勝はかろうじて日韓対決であったが、今年は日本人がいない≪韓韓対決≫となってしまった。さらに、韓国人の連覇記録も3に伸びた。この韓国の強さは一体何なのか。
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韓韓対決を制したキム・ヒョンテ
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優勝したのキム・ヒョンテ。韓国の名門、延世大に通う2年生、20歳の学生だ。昨年日本アマに初優勝、98、99年と連覇した星野英正以来、7年ぶりに連覇を果たした。
「連覇の自信はなかったけど、自分なりのゴルフができました。日本の選手は手強かったですね」
準優勝のカン・スンフン(19)も、同大の1年生で、「勝ち上がるのに苦労しました」とキム同様に、日本の強さを強調していたが……。
カンにベスト4で破れ、昨年同じくベスト4でキムに屈し、2年続けて韓国のカベに阻まれた42歳のベテラン田村尚之は、
「日本代表という気持ちで戦ったんですが、土俵中央でがっぷり四つに組んでいてもなかなか押せず、じわりじわりと押されて押し返せない。韓国の選手にはまったくつけいるスキがありませんでした。それにキムくんもカンくんも同じオーラを持っている、背負っている何かが違うんですよね。日本の若い選手にはないものを感じました」
≪背負っているもの≫について、日本のナショナルチームを育成するJGAの内田洋一郎氏はこう話す。
「韓国には、日本と違って徴兵制がありますが、今年開催されるアジア大会と世界アマのどちらかの大会で金メダルを獲れば、兵役を免除されるんです。まずは、韓国の代表選手に選ばれて、それから大会で優勝しようと、死に物狂いで練習しますよね。日本選手と実力の差はそれほどないと思うんです。ただ、国の代表という意識の差はあるかもしれません」
ナショナルチームの強化レベルにも大きな違いがあるという。
「韓国は国家レベルで育成費を6名いるナショナルチームに費やしていると聞きます。年間200日の合宿で、打ち込みラウンドに体力トレーニング。日本は年間20日程度とゴルフにかける時間が違う。体力も違います。ストローク戦では日本選手のほうが結果がいいことがありますが、マッチプレーや長期戦になると、体力面で韓国のほうが上であっても不思議ではありません」(内田氏)
韓国ナショナルチームの第一人者であるキムも、「1カ月に15日間ナショナルチームの合宿に参加してます。今は大会が近いのでラウンドが多いですね。試合で疲れは感じませんでした」と言う。
ところで、日本アマになぜ韓国の選手が出場しているのか、という疑問もある。
これは、外国選手の特別承認枠という出場制度があり、アジアに限らず欧米からでも、日本アマにふさわしい実力があるか審査されて、ふさわしいと承認されれば各国から1人だけ出場できる。
今年韓国から2人出場できたのは、昨年承認枠で出場して優勝し今年のシードを持っていたキムと、アジア太平洋選抜メンバーの代表で実力を承認されたカンが出場したためだ。
米ツアーでも日本ツアーでも韓国女子選手の活躍が目立つが、近い将来、彼らがプロに転向すれば、男子ツアーでも韓国旋風が巻き起こるかもしれない。
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