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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 8/1号
2006/7/18更新
11カ所のゴルフ場を売却するも、
川奈など優良コースは売らない西武グループの現況

 一昨年秋、突然降って湧いた有価証券報告書虚偽記載騒動による上場廃止問題以降、国内43コースの行方が注目されていた西武グループ。昨年1月に外部の識者による経営改革委員会から、「国内160カ所あるホテル、リゾート施設のうち25パーセント、約40カ所について、撤退や売却を検討すべき」との提言を受けたことから、コースが売りにでるのではとの期待が高まった。

 このため、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーによる買収提案が成されるなどの動きがあったものの、1年半を経てようやく約30カ所まで売却・撤退候補の施設が絞り込まれた。

 今回選ばれた30カ所は、いずれもプリンスホテル傘下の施設で、ゴルフ場はこのうち11コースだ。

 地域別の内訳では、北海道の8コース中3コース、東北の5コース中3コース、群馬の2コース中1コース、九州の5コース中4コースとなっており、それ以外のコースは売却もしくは撤退はしない考えという。

 今のところ、売却・撤退の方針である旨を施設所在地の自治体を回って説明を行った段階で、売却先が決まった施設はまだない。

≪堤帝国≫時代の西武グループは、コクドが西武鉄道やプリンスホテルなどグループ各社の持ち株会社としての機能を持つ一方で、西武鉄道、プリンスホテル、コクド各社でそれぞれにゴルフ場やホテルなどのレジャー施設の運営を行うという複雑な組織になっていた。

 そんな複雑な組織の是正に向けて昨年秋以降、米国のファンド会社・サーベラスや日興プリンシパルインベストメントなどの資本を導入。

 堤前会長の出資比率を引き下げるとともに、持株会社の設立や、コクドとプリンスホテルの合併などを実施。

 現在ではグループ全体の持株会社・西武ホールディングスの下に、鉄道事業の西武鉄道と、レジャー・ホテル事業のプリンスホテル(旧プリンスホテルと旧コクドの合併会社)がぶら下がる形になっている。

 ただ、実際には完全に事業の交通整理が出来ているわけではない。プリンスホテルグループ管轄のゴルフ場は、旧コクドが経営していたリゾートコース33コースと、旧プリンスホテルが経営していた阿蘇プリンス、そして平成14年に220億円で買収した川奈の2コースを加えた35コースのみ。

 西武鉄道本体所有で、西武ゴルフが運営受託している久邇CCなど埼玉県内の5コース、西武レクリエーション所有の西武園、西武ゴルフ直営の大原・御宿(千葉)と西熱海(伊豆)、それに近江観光所有の2コース、西武建設所有の伊勢高原といった、大都市圏の11コース、そして海外5コースはプリンスではなく鉄道グループ傘下になっている。

 鉄道とのシナジー効果を考えてあえて鉄道グループ傘下に置いているが、これら鉄道グループ系のコースについては「現状売却もしくは撤退を検討していない」(西武鉄道広報)ということだ。

 プリンス傘下のコースも、今回報道で明かになっているコース以外は、今のところ売却する意志はなく、大箱根など箱根4コース、軽井沢72など長野の8コース、新潟の苗場プリンス、それに川奈、大磯などは当然のことながらそっくり手元に残す。

 プリンスホテルは傘下ホテルを3つの等級に分けて、サービスや施設の改善を計画しているが、ゴルフ場買収に意欲を示す企業の垂涎の的・川奈ホテルは、東京プリンスパークタワーや軽井沢プリンス南館など7施設とともに、最上級に指定されている。

 宿泊客限定の富士コースで週末にプレーしようと思ったら、最低でも5万7400円かかる。しかもそこそこ予約で一杯という。

 依然としてグループ全体で1兆円を超える借入金があるとはいえ、今年1月に実施した増資などで1600億円も資本が増強されており、当面虎の子の優良資産を売りに出さなければならない状況にもない。

一部にはゴルフ場経営から完全に撤退するのでは、との憶測も流れてはいるが、どうやら誰もが欲しがる優良コースは売りに出ることはなさそうだ。

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