ところ狭しと並べられた中古クラブの数々。ときにはハシゴもしながらお値打ち品やお宝の1本を探し出す。大人のおもちゃ箱といった表現がぴったりだった中古クラブショップのイメージが変わりつつある。新品を扱う大型郊外店と肩を並べる大規模な中古クラブショップが続々とオープンしており、マニアックな店から、明るく誰でも入りやすい店へと転換が図られている。そんな中古クラブショップの現状を探ってみた。
今年に入ってからすでに7店舗を新しくオープンさせたのはフランチャイズ大手のゴルフドゥ!。新規開業店の特徴は、既存店の平均30~40坪に比べ、60~100坪級と大型化していることだ。
このほか同社では、既存4店舗が移転もしくはリニューアルによって拡張されている。同社が店舗の大型化に着手した最大の理由は店頭在庫の拡充にある。
「中古ショップとしてお客様に喜んでいただけるサービスを考えた場合、やはり一番目は在庫量です」(同社マーケティング企画グループ/林賢一氏)
インターネットを利用した在庫の一元管理を行う一方、やはり中古クラブの性質上、手にとって品定めできる店頭販売は柱と考えているようだ。
「中古に限らずクラブを選ぶときは、たいてい手にとってワッグルされますが、そのためには見やすく陳列して、通路の幅も十分に確保する必要があります。アイアンセットも番手によって状態が違うため、手にとりやすいよう、箱でなく、フックにかけて陳列しています」というのが同社の方針だ。
そんな中、同社では8月に旗艦店として直営の川越店をオープンさせる。同店は床面積233坪と大型量販店を凌ぐ大きさで、5打席分の試打室が用意される。
また、広大なスペースを生かして、アパレルやアクセサリーの目玉商品も取り扱い、若年層や女性までターゲットに据えている。
「規模が大きくなるほど客層も広がります。30坪40坪程度だとどうしてもプロショップ的な品揃えと接客になりますが、間口を広げれば初心者の方でも入っていただきやすくなります」(前出/林氏)
一方、業界最大手のゴルフパートナーも、今年、住友商事を引受先とする第三者割当による増資を行うなど財務体質を強化し、積極的な店舗展開を継続している。
年間40店舗ペースで、現在の230店舗から2008年には350店舗と150パーセントもの拡大を目指す。同社の場合も店舗は大型化している。
その理由は、ボールやティなどの小物、最新モデル、オリジナルブランドなど商品アイテムを拡充しているためだ。
98年の創業時には、中古クラブのみでスタートしたが、現在の商品構成は中古6、新品3、小物1の割合となっている。
これにともない1店舗あたりの年間売上げも上昇しており、昨年対比112パーセントと好調な推移を示している。
中古ショップが攻勢を仕掛ける中、老舗の二木ゴルフも、このほど同社としては2番目の中古クラブ専門店をこの7月、埼玉県にオープンさせた。隣接するファミリーレストランと駐車場を共有する複合店舗形式で、店舗面積も130坪と本格的なもの。
「チェーン店と比べると検索等ソフト面ではかなわない。在庫量と質で勝負するしかない」(二木ゴルフ美女木店/磯廣志店長)
店作りには従来店のノウハウも盛り込まれ、試打席にはダンロップのデジタルインパクトワールドを設置されている。
「遠慮なく打っていただける中古クラブならではの特色を生かしたかった」(磯店長)
また、本格的な工房が併設されているのも同店の特色だ。最近の売れ筋シャフトはほとんど在庫し、シャフト用の試打クラブまで用意されている。
ゴルフ用品業界を揺るがしたSLEルール問題も、中古クラブ業界ではビジネスチャンスとして捉えられている。新品で出回る高反発クラブが限られているため、ここ1、2年の間に発売された中古クラブの需要が高まっているのだ。
さらに08年に向けてルール適合クラブの需要も発生すると見られている。追い風を受ける中古クラブショップの変革は、今後、大型郊外店にも影響を与えそうだ。
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