来年の米ツアーは賞金王の獲得賞金はなんと15億円を超えそうだ。2007年より、米ツアーは9月にシーズンを終え、新たに「フェデックスカップ」という名称で、ワールドランキングとは全く別の、新ポイントシステムが導入されることは、以前にも伝えたが、その全容が、明らかになってきた。冒頭に賞金王の獲得賞金が15億円と書いたが、そもそもこれまで≪賞金王≫という考え方が、ほとんど意味を成さなくなる時代に、突入しそうなのだ。
1月4日のメルセデス選手権からツアーが始まって、8月の全米プロでレギュラーシーズンを実質的に終え(最後にカロライナクラッシックが1試合あるが)、その後、プレーオフと称される4試合を行い、真のチャンピンを決めるというものだ。
プレーヤーは、カロライナクラシックまで獲得ポイントを争い、上位144名が、プレーオフに出場する権利を得る。
これまでであれば、米国は9月に入ると、アメリカンフットボールが始まり、大リーグのプレーオフ、ワールドシリーズが始まるとあって、ゴルフの視聴率が大きく下がると同時に、メジャーを中心にプレーをするトッププレーヤーたちにすれば、消化試合のような様相を呈していた。
実際、この時期にテレビ放映を行っていた3大ネットワークの一つのABC局が、男子のゴルフ中継から撤退することを明らかにしたように、テレビの放映権収入が、主な収入源であるPGAツアーにすれば、秋のトーナメントをどう盛り上げるかが、課題だった。
そうした中で、「PGAツアーの歴史の中で、最大の改革」(T・フィンチェム・コミッショナー)を断行。成績による報酬では、スポーツ界最大のプレーオフが実現することになったのだ。
プレーオフの4試合はバークレークラッシック、ドイツバンク選手権、BMW選手権、ツアー選手権で争われ、賞金は各700万ドル、これにツアー選手権後の最終ポイントで、ボーナス賞金が渡され、そのトップには、なんと1000万ドルのボーナスが手に入る。
つまり、プレーオフに残ってトップ争いをする時点で既に最低でも約1億5000万円を稼ぐことになり、その上、プレーオフで1試合勝って、もう1試合で上位にきた場合は約2億円、さらにボーナス加算があれば11億5000万円が入ることから、賞金王ということになれば、最低でも15億円はゲットできるという計算だ。
ここまでは良いのだが、問題は、すべてがポイントに換算され、しかもプレーオフにあたっては、それまでのポイントが一旦帳消しになって、その時点のトップには、10万ポイント、2位には9万9000ポイントと、ほとんど差がなくなってしまうのだ。
ある意味では、野球の大リーグがペナントレースで、いくら良い成績を上げても、プレーオフの成績が悪ければ、ワールドシリーズにも出られないのと同じように、メジャーで、年間グランドスラムを達成したとしても、賞金王にはなれないなんてことも起こってくるというわけだ。
加えて、メジャーは別にしても、通常の試合に関しては、そこそこ頑張り、上位でプレーオフに残るだけのポイントを稼いでしまえば、後はどうでも良くなってしまう、という可能性もないではない。
「他のすべてのスポーツには、シーズンの終わりに花火のように派手なプレーオフがある」とはデービス・ラブⅢの言葉だが、ある意味では、プレーオフを盛り上げるためには、これくらいの賞金やボーナス、そしてポイントシステムが必要なことなのかもしれない。
しかし、過去10年、高額化する放映権料とスポンサー料のために、テレビ離れやスポンサー離れになってしまったという経緯もあり、金で釣るやり方に、疑問の声が出てくるのも、当然といえるかもしれない。
しかも、プレーオフ後の「クエスト・フォーカード」と名付けられたシード争いの試合日程などの調整は、まだ終わっていない。
毎年秋口に行われていたフナイクラシックやサザーンファームといった試合にすれば、見捨てられたのも同然で、PGAツアーに対する不信感を募らせている。
来年、フタを明けてみなければ分からないことも多そうだが、トッププレーヤーたちが、ますますリッチになることは、間違いがなさそうだ。
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