日本女子が世界にその強さを示した。米ツアーの舞台でもあるカリフォルニア州サンディエゴのトーリーパインズGCで行われた世界ジュニアは、団体戦で男女ともに日本が優勝。女子個人戦でも16歳、宮里美香が優勝。団体・個人両部門同時制覇という日本女子初の快挙を果たした。昨年の若林舞衣子に続く日本勢の連覇は、女子ジュニアの層の厚さをも思わせるものだった。
現在、米ツアーで活躍中の宮里藍あたりより、日本の女子ジュニアの強さは際立っている。
今回の宮里美香のように、アマチュアの大会で活躍するのはもちろんのこと、プロのトーナメントに出場し、上位に入る事も少なくない。
それも誰か1人が活躍するというのではなく、優勝争いに顔を出すジュニアが、トーナメントを次から次へと賑わしていると言っても過言ではないほどだ。
今年の例を見てみよう。宮里美香は、ツアー3試合に参戦して2試合で予選を通過している。そのうちベルーナレディースでは、2日目6位と健闘。最終日に崩れたものの、それでも16位で大会を終えている。
他には、2003、2004年の世界ジュニア13~14歳の部連覇の経験を持つ金田久美子が、ニチレイレディスで優勝争い。
最終日、最終組でプレーして74と崩れたが、優勝した横峯さくらに3打差の4位タイとなっている。金田は世界ジュニアの各部で優勝経験をもってもおり、実戦経験の豊富さでは他に類を見ない。
また、昨年の世界ジュニアに勝った若林と有村智恵が、サントリーレディスで8位タイ。若林はスタンレーレディスでも6位タイにに入っている。
これだけ見ても、高校生のうちにツアー優勝を果たした宮里藍に続く選手がいつ出てもおかしくない状況にあるのが、女子ジュニアの現状だ。
一方の男子は、今回の世界ジュニアで団体優勝し、さらに藤本佳則が個人戦2位となったが、優勝したマシュー・ギルズには9打差をつけられている。
他には、プロツアー出場は徐々に増えており、アマの試合よりこちらを優先している伊藤涼太が目立つ程度。それでも、女子の比ではない。
では、なぜ、女子ばかりこんなに強いのか。日本ツアーの永久シード選手で、大学生の2人の子供を持ち、テレビ解説の仕事もこなす森口祐子がこう分析する。
「環境ががらりと変わったのが大きいでしょう。層が厚くなってきたことで目標ができた。遠くにある目標じゃなくて『プロの試合に出る』とか『先輩に追いつきたい』というように、自分が達成できるくらい目標が近くに見えてきた」
このことでさらに層が厚くなり、好循環を呼んでいる。
一方で男子については、森口も首を傾げながらも
「日本のゴルフ環境は、整ってきたとは言ってもまだまだ整っていない。他のスポーツのように部活などで盛んになっていないから、いい意味で遊びのゴルフが広がっていない。競技ゴルフのためのゴルフだけ(が突出して発展している)感じ。
だから、高校生まではよほど家庭の応援がないとできないのが現状でしょう。また、男子は女子と比べて(保護者のスタンスも)学業優先になりやすいんじゃないかな。どちらかと言うと女子は『勉強はいいからゴルフを』という姿勢になりやすいのでは」
と話す。
こうして現状を洗い出してみると、第2の宮里藍誕生の環境は、すでに整いつつある。
女子の好循環を生かしつつ、さらに底辺を拡大し、子供たちがみなゴルフに触れることのできる環境作りをすること。それを促進し、限られた者以外も競技ゴルフを選択するようになれば、おのずと男子も世界レベルになれるはずだ。
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