先週から続く集中豪雨は梅雨末期の特徴といわれる。本格的な夏の到来はもうすぐそこまで来ている。そうなると気をつけたいのが熱中症だ。梅雨明け早々、体がまだ猛暑に慣れない時期に多いといわれる熱中症の対策を再確認しておこう。
ラウンド中の熱中症といえば、先々週の米ツアー、ジョンディアクラシック2日目にミッシェル・ウィ(16歳)がスタートしてすぐに体調不良を訴え、結局9ホールを終えたところで棄権したことが話題となった。
30度を超える猛暑に加え、高い湿度、また自身プロ転向初の3週連続出場の疲労などから熱中症につながったようだ。
彼女の場合は、幸い早めにリタイアし、会場の救護施設で手当てを受けたあと、点滴を打ちながら救急車で病院に運ばれるという万全の措置で、その日のうちに退院するまでに回復できた。しかし、熱中症は判断が遅れると死に至ることもある。
その点で反省しているゴルフ関係者がいる。有名なプロコーチの井上透氏(33歳)だ。
井上氏は先月21日、ミズノオープンのプロアマで、契約プロについて歩いている最中に熱中症でダウン。会場近くの病院で一晩入院することになった。その体験は、自身のブログで紹介されているが、実際どのような状況だったか改めて尋ねた。
「あの日は曇っていて、気温もそんなに高くなかったんですよ(当日の最高気温は29.7度)。普段から水分は摂るようにしていますし……。ところが、加瀬(秀樹)プロや今井(克宗)プロの組について歩いているうちに、6~7ホール歩いたところでしたね、体が重く感じ始め、それから次第に頭痛や吐き気を感じるようになりました」と井上氏。
それでも何とか両プロのラウンドを見終え、さらに米山剛プロなど他の契約プロの練習ラウンドに付いて5ホール歩いたところで限界に。茶店で一息入れたら、もう立てなくなった。
「発熱もあったので、熱中症だと思いました。そこでカートを回してもらいクラブハウスまでは帰れたのですが、救急車を呼ばれては大会関係者に迷惑がかかると思い、無理してもタクシーで病院に行くことにしたんです。
タクシーには這うようにして乗り込みました。でも、タクシーで行ったので、病院で急患扱いにされず、待合室で長い間待たされて……。熱でうなされながら、こっちは急患だぞって思ってましたよ(笑い)」
ようやく受けた診察の結果は、案の定、「熱中症だね」、そして、「今晩、入院していって」と。「とりあえず点滴いっぱい打っておこう」(医者)といったやり取りの末、頭など体の5カ所を氷のうで冷やしながら、一晩かかって点滴を4~5本打たれることに。
しかし、翌朝も体温はまだ38度。結局、午後まで病院のベッドでさらに2~3本の点滴を打たれ、体温が37度台に戻ったところで退院となった。
「熱が完全に引くまで3日かかりました。水分も摂っていましたし、寝不足でもありません。原因があるとすれば、多少疲れがたまっていたことですね」
と語る井上氏からのアドバイスは「体調が悪くなったら、ラウンドの途中でも無理をせず、すぐにクラブハウスに引き返すことですね」ときっぱり。
専門家のアドバイスも聞いておこう。『血液サラサラ生活のすすめ』などの著書で知られる栗原毅氏(東京女子医科大教授、戸塚ロイヤルクリニック所長)は、
「私の場合、真夏のゴルフではラウンドで1リットルの水分を摂るようにしています。ただし、どの程度摂ればいいといった基準はなく、それぞれ汗の放出量やのどの渇きに応じて十分な水分を摂ることです」
また、井上氏の例からも分るように、炎天下でなくても、湿度の高い日にはかいた汗が蒸発せず、体内の熱が放出されないために体温が上昇することになる。
曇っているからと安心してはいけない。これからの季節のゴルフは、各自体調の変化に十分留意することだ。
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