俺はやってない! 有印私文書偽造の疑いで神奈川県警に逮捕され、処分保留で釈放された船渡川育宏が、事件とのかかわりを否定した。
6月17日に現職理事の船渡川、前会長で理事をすでに辞任している長田力、前副会長の石井秀夫の3人が同件で逮捕され、その対応に追われる日本プロゴルフ協会(PGA・松井功会長)は8月の定例理事会を前倒しして7月24日に開催。ファンや会員に対して事件の影響が大きいことから「全会一致で」(森静雄副会長)理事の辞任を要請した。
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自分はかかわっていないと、船渡川
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釈放後、19日にPGAを訪れ、迷惑をかけたことを謝罪した船渡川は、やつれた様子ながらこの日も理事会に出席。その場にいた自分以外の理事16名に対して謝罪はしたものの、事件そのものに対するかかわりを否定。
弁護士を同伴しておらず、さらに処分保留の身である事もあり「ここで返事はできない」と、要求への即答を避けた。
事実上、要求を突っぱねられた形の理事会側は困惑。「とにかく80パーセントは『お答えできない』で、話が先に進まない」(松井会長)と、文書で同じ内容を通達することを決定したにとどまった。
また、船渡川同様、処分保留で釈放されながら「協会に対し何の連絡もないし、こちらからするつもりもありません」(松井会長)と、逃げを決め込んでいる長田前会長、さらに、依然として拘留中(7月24日現在)の石井前副会長については、現職理事でも代議員でもないため、一会員としての処分については、8月7日に1回目が開催される予定の懲罰諮問委員会に処分を委ねた。
理事会では≪貝≫になった船渡川だが、他の理事が自分について話し合っているのを待つ間には心境を吐露。以下は本誌が独自に行ったインタビューである。
------容疑については?
「かかわっていない」
------取調べは?
「やったのならとにかく、やってないのだからそう言うしかない」
------では、なぜ逮捕されたのか。
「確かに、その日(事件の日とされる昨年11月11日)に事件現場とされるPGA会長室には(今回逮捕された)3人でいたんだから、それはその通りに話した。シニア部会があったからね。俺は選手の立場から意見を言っていたのは事実。でも、そこで他の人間がメモを取っているのか、ほかの事をしてる(私文書=神奈川地区の議事録の改ざん)のか、のぞいたりしていないから……。取調べではそのまま話した」
------では他の2人については?
「わからない。やってなければいいな、という感じ」
------逮捕された時は?
「任意同行というならまだわかるけど、いきなり逮捕なんて驚いた。でも、テレビの間違いがわかったよ。手錠っていうのは下からかけるもんなんだ」
------かかわっていないのに謝罪するのは?
「逮捕という事実では迷惑をかけたから」
------取調べにはずっと否認を?
「やっていないものはやっていないというしかない」
生々しいエピソードも交えてこんな風に口にした後、理事会に出席。約30分間、謝罪と各理事からの話を聞いた後、松井会長、森副会長、PGA顧問弁護士の米林和吉氏と共に別室へ。ここで辞任要請を受けるも回答せずに、帰路に着いた。
処分保留といういわば白黒ハッキリしない状態だけに、理事会側から手を下すことができず、手っ取り早い辞任要請となった裏には「ファンや一般会員からご心配頂く電話があったり、実害が出てきたため」(森副会長)という苦しい事情がある。
米林弁護士も「弁護士的考えだと処分は先延ばししたいところだが、ファンや会員に対して急ぎたいようなので、手続きだけは進めましょう、ということ」と、これを認めたのが現状だ。
結果的にそれが思うような形とならなかったため、この日は結論が出せずに終わってしまった。
当事者の船渡川は、理事会出席前とはうってかわって、表情を固くし「弁護士先生と相談しないと、今は何もいえない」と口にしたが、それでも、事件とのかかわりはあくまで否定。
「ここで辞めたら『やっぱり』と言われてしまうし……。法廷闘争なんか本当はしたくないんだけど」と、今後の動きを示唆する言葉を残して、車中の人となった。
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