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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 8/15号
2006/8/1更新
過熱するボール市場にテーラーのニューボールが参入
シェア4位を狙う鼻息

 ブラックマックスの発売から1年を待たずに登場したのが、テーラーメイドのプロ、上級者向けボール「TP(ツアープリファード)ブラック」と「TPレッド」。真打ちともいえるこのボールの発表会では、ブリヂストン、ダンロップのシェアを本気で奪いに行くという菱沼信夫社長の強気の発言も飛び出した。タイトリストを加えた3強にどこまで迫ることができるのだろうか。


テーラーのニューボール(TPレッド)

 今シーズン開幕戦、わざわざ米国本社から弾道計測装置のトラックマンを持ち込んでクラブフィッティングを行ったテーラーメイド。

 フジクラと共同開発したリアックスシャフトのプロモーションが一番の目的とされていたが、次の狙いはボールの開発ではないかと警戒心を顕わにするライバルメーカー関係者もいた。

 その根拠となったのは、今シーズンのクラブ契約に際して同社が選手に提示した条件だ。

「ボール契約を含めるか否かで契約条件に相当の差をつけたと聞いています。いよいよボールにも本腰が入ってきたなという印象です」(業界関係者)

 ただ、本命ボールはブラックマックスではなかった。7月24日付けのスポーツ各紙はかなりの紙面を割いて、ニューボール「TP」の発表を報じた。

 東京・江東区の若者に人気の先端クラブを貸切りで、契約プロや芸能人を招いて行われた派手なパフォーマンス。

 その後、記者をホテルに招き宿泊、翌日ゴルフ場での試打ラウンドと、ゴルフ業界では近年稀に見る大がかりな仕掛けが功を奏し、これを同社の意気込みのあらわれとして伝える記事も目立った。

 ボールそのもののパフォーマンスにも大きな自信を示している。開発チームの中心人物は、かつてアクシネット社でプロV1を担当したディーン・スネイル氏。

 この人物をヘッドバンドし、TPの完成までには基礎研究から5年間を費やしてきた。

「コアは、40年ぶりに登場するまったく新しい複合素材で、高反発でありながら柔らかい打感が得られます。また、トラックマン等を駆使し、弾道の初期、中期、後期で最適な空力特性を得られるディンプルパターンを開発しました。スピン系ながらディスタンス系と言ってしまいたいくらい飛距離には自信があります」(テーラーメイドゴルフマーケティング部・加瀬友之氏)

 同社では今年の販売数量を10万から15万ダースと予想。2010年には100万ダースを目標としているが、圧倒的な販売力を有するブリヂストン、ダンロップからシェアを奪うには、マンパワーで劣るゴルフ専業メーカーとしては相当な難しさもある。

 これまで同社は、トーナメントで積極的なプロモーションを展開し、プロの高い使用率を背景にブランドイメージを構築するマーケティング手法を行ってきたが、ほとんどの選手が契約に縛られているボールの場合、新規に契約を結ぶことは容易でない。

「ポーラ・クリーマーや諸見里しのぶなど当社の看板選手ですら、他社のボールを使っている状況ですから、最初は自社のクラブ契約プロから少しずつ拡げていきたい。4位グループに入れれば、そこそこ目立つボールになると思います。まずは性能が分かる人にどれだけ使っていただけるか」(前出・加瀬氏)

 一説によれば、ボールは成功すればドル箱状態の収益率が上げられるという。

 古くは7年前のナイキや、昨年のミズノなど、ボールビジネスへの参入の動きが活発だが、これも収益性の高さをにらんでのことは想像に難くない。

 開発チームの拡充に努める一方で、ボールメーカーのマックスフライ社(01年)、ボール製造機器メーカーのビッグベンドマシンツール社(05年)を相次いで買収した、テーラーメイドの本気度は際立っているように見える。

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